有料道路を「逆走」、気力も低下――父の認知症の前触れ、弟家族とは“家庭内別居”状態
Facebookが「相続人」の機能を新たに始めた。アメリカだけのサービスだが、死亡後に自分のページの管理を委ねることができるのだそうだ。葬儀の案内文を投稿することもできる。確かに、Facebookに突然亡くなった友人の笑顔が現れてドキっとすることがあるから、この機能が日本でも始まれば、中高年を中心に利用者は増えるのかもしれない。本当は、死ぬ前にSNS関係はきれいさっぱり消しておきたいところなんだが。
<登場人物プロフィール>
中西 静香(44)首都圏在住。夫と子ども2人と暮らす
大内 宏文(77)中西さんの実父。九州で妻、息子家族と暮らす。専業農家
大内 和佳子(74)中西さんの実母
大内 邦弘(41)中西さんの弟。専業農家
■弟家族から完全に無視されている両親
中西さんは、両親のことを考えるとついため息が出てしまう。かれこれもう十数年になる。ため息の原因は弟だ。
「弟は結婚して両親と同居しています。うちの実家はすごい田舎。若い人も都会に出て行ってしまっているのに、同居して農家を継いでくれて、お嫁さんにも感謝していたのですが……」
もともと、弟は父親とは仲がいい方ではなかった。父と息子なんてどこも大抵そんなものだろうと思っていた中西さんだったが、弟が結婚して子どもが生まれても、父親との関係が変わることはなかったという。弟夫婦の子どもたちが大きくなるにつれて、両親の居場所もなくなっていったようだ。
中西さんは、お盆や正月などで実家に里帰りしても、弟家族に気を遣って居心地の悪い思いをするようになり、だんだん実家に帰ることが少なくなった。
「せめて、電話くらいしてあげようと思うんですが、母は弟夫婦に気を遣うのかすぐに電話を切ってしまうんです。昼間、弟夫婦が畑に出ている隙に、短く電話をかけてくるくらいで、そこまで肩身の狭い思いをしているのかと思うと切なかったですね」
かといって、関係が悪化するような大げんかをしたわけでもないという。
「けんかができるようなら、まだ接点もあるでしょう。けんかにさえならないんです。同居しているのに、ほとんど“いないもの”のようにみなされているような。家庭内離婚の親子版みたいな感じですかね。顔を合わせても挨拶もしない。もちろん食事も別。孫たちともほとんど会話していないようです。両親はそんな状態にも慣れたと言っていますが、精神的ストレスは大きいと思います」