サイゾーウーマンカルチャー大森靖子が本名で活動する重要さ カルチャー 「spoon.」斉藤まことが見る2015年の女性カルチャー 『オーファン・ブラック』とリンクして考えた、大森靖子――擬態としての“スマートビッチ” 2015/02/08 19:00 カルチャー大森靖子 さて、それで2015年、彼女に続く全自作の女性シンガーソングライターとして個人的に注目しているのが、共に90年代生まれの「ラブリーサマーちゃん」と「DJみそしるとMCごはん(こう名乗りつつ1人)」だ。2人ともアーティストネームでの活動で、いずれの音源も耳触りがよく、作り手のセンスと才気を感じる。しかしその分、どこかで自作だからこそ出てくる表現のエッジを意図的に削り、それぞれ「ラブリーサマーちゃん」「DJみそしるとMCごはん」というアイコンに合わせて楽曲を丸くしているように見える。そこがせっかく才能あるのにもったいないよなあと思う。 そう感じてしまうのは、僕が今大森靖子ドラッグにやられすぎているせいかもしれないが、たとえばラブリーサマーちゃんだったらTwitter世代ならではの人間関係の歌、DJみそしるとMCごはんだったらちょっと悲しい思い出のあるレシピの歌など、センスとスキルで加工する以前の本名成分の高い楽曲をぜひ聴きたいと思う。2010年代も早5年が過ぎてラノベやアニメはテンプレ設定を「またかよ」というつっこみ込みで細部に分け入って楽しむ、というミクロ的鑑賞法が定着したが、自作で制作からパフォーマンスまで行うインディーポッブはテンプレからもっと自由になれるはずだ。音楽はやはりラノベでなく私小説であってほしい。今はそんな私性にあふれた歌を無料でなくぜひ買って聴きたいと思うのだ。 (斉藤まこと) 前のページ123 最終更新:2015/02/08 19:00 Amazon 『spoon. (スプーン) 2015年 02月号』 アタチにもいろんな顔があるのよ~ 関連記事 女子カルチャーの新局面? ギャル系・カワイイ系でもない1990Xとは異端児、魔女、韓流ドラマ……「男性優位社会の脅威となる女性」の変遷をたどる「いい悪いではなく、彼女たちの感性は正しい」女子文化を見つめる斉藤まこと氏カルチャーにオッサンと消費はいらない!きゃりーぱみゅぱみゅが体現した文化のあり方戸川純、椎名林檎、大森靖子――“性”を歌う不思議ちゃんが勝ち得た、女子の生き方とは? 次の記事 中年が“病弱メイク”に挑戦したら…… >