「金のための結婚」が許されない日本で、神田うのの語った“愛”がはらむ矛盾とは?
冒頭の「うちは愛でしかつながっていない」という言葉は、大沢の拝金主義にとどめを刺すともいうべき発言である。うのは「自立していて財布は夫とは別」だそうだが、テレビを見まくっている身からすると、うのの発言が矛盾をはらんでいるように思えてならない。
もう終わってしまったが、『坂上目線』(テレビ東京系)というトーク番組があった。うのが同番組のゲストとして登場した際、「自宅」のキッチンを公開したことがあるのだ。うのの言う「自宅」とは、うのと娘が2人で住む場所のことである。うのは、この自宅と実家、夫が1人で住む家を「行ったりきたり」しているそうである。うのの「自宅」キッチンは見るからに広く、司会の坂上忍が驚いて家賃を訊ねると、「家賃は100万以上だけど、金額は言えない。主人が借りてくれてるの」と自分で答えていた。
一般的に言う「財布が別々」とは、家賃も自分で払うことを指すが、うのの場合は、違うようである。洋服や靴など、自分に関するものを自分で買うことが、うのの言う「財布が別」な可能性もあるが、確かなことは、同番組で食料品の買い物や自宅マンションなどの“私生活”を公開するうのが、大沢とまったく同じ種類のにやにや笑いを浮かべていたことだ。これは、「すごいでしょ」「みんな羨ましがれ」という笑いだと私は解釈した。私にとっては、うのも大沢も同じ穴のムジナというやつである。
日本では金の話を公の場でしないことがマナーとされているので、「金が好き」とわかる行動を取ること、それを見せびらかすことは、悪とされる。が、「ともかく金が好き」という性質は、結婚生活や婚活においては、実はプラスに働くのではないだろうか。内面的なもの、例えば「学歴じゃなくて頭が良い」とか「優しい人」という条件は、いかようにも解釈できるので厄介だが、その点、金はわかりやすい。
うのの夫は、過去に水商売の女性との旅行を写真週刊誌に撮られており、さらに同じ家に住んでいないことから、定期的に離婚説が持ち上がるが、賭けてもいいが、うのは離婚しない。うののように金が好きなタイプは、浮気をしない男よりも、浮気をしても、『坂上目線』で披露したような超高級マンションを借りてくれることに愛を感じるからだ。
「金が好き」という性質は、決して悪いことではない。本当は金が好きなのに、「愛さえあれば」「人並みくらいで」と自分に嘘をつくと、結婚がややこしくなって自分が損をすると思う。うのを見ていると、結婚したいという女性は、自分が本当に欲しているものは何か、じっくり考えるべきなのだとつくづく感じてしまう。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
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