【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

「ブスと笑われ、恋愛はゲームの中だけ」の妻が、気持ちいいセックスを婚外恋愛に求めるワケ

2015/01/24 16:00

 学生時代、華やかな容姿の同級生たちが彼氏の話をしているのをうらやましく眺めながら、大好きなマンガやゲームの話で盛り上がっていた恵美子さん。恋愛シミュレーションゲームのヒロインに自分を投影し、テレビ画面の中で恋愛をしていた。

 九州の地元を離れて北関東の短大を卒業。その後もずっと関東で暮らしている。30歳を目前にした時から、帰省することが億劫になったという。その理由は、両親や親戚から“結婚”を急かされるから。

「愛想笑いをしつつ、心の中で怒鳴ってましたよ。『結婚する前にまず処女捨てないといけないの!』って」

 けれど、恵美子さんは現在、既婚者だ。相手は同じIT企業で働いていた4歳上のエンジニア。恵美子さんは、今のご主人に処女を捧げた。恵美子さんは32歳、ご主人は36歳だった。

「夫の女性遍歴は、大学時代の彼女と、30代前半の頃に少し付き合った派遣社員の女だけだと聞いています。……たぶん本当でしょうね」


 「どうしてそう言い切れるの?」と訊ねると、あっけらかんと「そういうセックスだから」と恵美子さんは答えた。恵美子さんは、34歳で結婚したそうだが、アニメやゲームなどの趣味に寛大なご主人は「伴侶にふさわしかった」という。

「私も、彼の月に一度の風俗通いには目をつぶっていますしね」
 
と、いたずらっぽく恵美子さんは笑う。ご主人との性生活は、週末に駅前の居酒屋で食事と酒を交わし、自宅に帰るとご主人がどこからともなく引っ張り出してくるアニメAVを見ながらセックスをするのが定番になっているそうだ。

「主人が満足したら、私は別室に行ってゲームをします。それか、同人誌を描くか……」

 ご主人の写真を見せていただいた。長身で細身、ひょろりと痩せた腕で恵美子さんの肩を抱き寄せて、にこりと微笑んでいる。筆者が、「優しそうな方ですね」と言うと筆者の答えに、恵美子さんは苦笑した。

「ほめ言葉が見つからない人って、たいてい『優しそう』って言うんですよね。そういう夫だから、私は不倫しているんですよ」
 
 と語る恵美子さんは真っ直ぐに私を見つめていた。そこには、「最初で最後の男がご主人だとは、思いたくない」という決意すら感じられたのだ。


「乳首の先っちょを舐めて、アソコを指先で触って、正常位で挿入……そんなものがセックスだなんて、思いたくはないでしょう?」

『恋が終わって家庭に帰るとき』