「BAILA」の新女性像「外側は女らしい、内側男前」、10年前の『anego』ブームとの違いとは?
■バイラーズ衝撃の「マンネリ」宣言
「もう寒さにも暗い色にも黒タイツにもすっかり飽きた皆さんへ 7つのアイデアで、『冬服マンネリ』を簡単になんとかできます!」というファッション企画を見ていきましょう。最近の「BAILA」といえば、「やさしげグレー」と「ネイビーのニットワンピース」が大のお気に入り。毎号このコンビがBUZZってりゃ(前号参照)、そりゃあもうマンネリもしてくるってもんです。しかし、毎号「BAILA」を信用してコンサバかつ無難なコーディネートをしてきたというのに、「マンネリですよ」ってひどいです。マンネリじゃないように毎回やってくださいよ! と思わずにはいられません。
そんな「BAILA」の平常運転ともいえる「マンネリコーデ」に対するアンサーは、「ツヤを足す」「春色を投入する」「セットアップのトップス上手になる」とのこと。今までのコーディネートの根幹はそのままに、明日から頑張れそうなものばかりで、これは読者にも参考になるのではないでしょうか。
11月号の「やさしげグレー」、1月号「今『黒』を着るならここに気をつけよ!」と、最近の「BAILA」は常に無彩色が先行のイメージだっただけに、春色が登場し、久しぶりの明るい誌面。特集の読後感も違います。お洋服に彩りがないと、どうしても気持ちも沈みがち。冬の鬱々とした感情は、一点春色投入という、とてもファッション誌らしい取り組みで“まずは”改善していくことができそうです。しかし、この拭い切れない“マッチポンプ”感って一体……。
■もう「恋愛体質」の時代は終わった!!
続いて「2015年新提案! 支持される魅力の新スタンダード 今『外側は女らしい、内側男前』な人が素敵です!」という鼻息の荒い企画を見ていきましょう。こちらも春に向けて自身の方向性を内面から定めんとしている企画のよう。その新提案とは「最初ははっとする見た目の女らしさに惹かれ、知れば知るほどかっこいい中身に惚れる!」という女性像、とのこと。「外側は女らしい、内側男前」な女性の一例として、「BAILA」モデルのヨンア、竹下玲奈、絵美里、女優の広末涼子、吉瀬美智子、榮倉奈々などの名前が挙がっています。
要は、「見た目がきれいで、中身がバリバリ仕事できてしっかり者」=素敵、ということらしいのですが。あれ? これって10年前の『anego』(日本テレビ系)ブームと何が違うんだ? うーん、篠原涼子が浮かんでくる……、篠原涼子しか浮かんでこない……!
2005年、篠原とまだKAT‐TUNがCDデビューさえしていない頃の赤西仁が出演していたドラマ『anego』。その前年に話題となった、酒井順子著『負け犬の遠吠え』(講談社)の「バリキャリ女性=おひとりさまで結構」という概念を下敷きに、バリキャリが仕事も恋愛も総取りで最高の勝ち組になるというのが、このドラマの内容でした。おひとりさまが既定路線だった、篠原演じるバリキャリ女性が、赤西演じる若くてかわいい新入社員・黒沢とイチャイチャするわけですから、いかにも少女マンガ的展開であり、虚像もいいところ。『anego』ブームとは、「こんな恋愛あるわけねーだろ」とつっこみを入れつつ、フィクションであることは承知の上での“あこがれ”に近いマインドだったように思います。