「nina’s」のおうち特集、子どものために秘密基地は作っても妖怪グッズはナシの歪んだ「自由」
オシャレでクリエイティブな子育ての伝道師・「nina’s」(祥伝社)。数号前から“ナチュラルな暮らし=おばあちゃん”という謎のイメージをにじませてきた同誌ですが、今号はついに「おばあちゃんの知恵袋BOOK」というブックインブックを作っていました。扉ページには「たま」のボーカル並みに短い前髪の女の子が手づくり梅干しの瓶を抱えてニッコリ。「昔から親しまれてきた生活の知恵は、『エコ』『節約』『手軽にできる』といいことづくめ」と、おばあちゃんの知恵袋に漂う隠しきれない貧乏臭さに「エコ」という名のファブリーズをぶっかけています。しかしながら「手軽にできる」と言いながら、「白菜は漬物にして日持ち」「アルミホイルに巻いたさつまいもをたき火に入れる」「大根はちみつで風邪予防」「手前味噌を仕込む」など、手軽どころか手がプルプル震えそうな重さ。さらに“色があせたり黄ばんだりした洋服を紅茶で染めて”“穴があいたら刺繍やパッチワーク”でリサイクル。「縫うということは愛情のある行為」というキャッチに震えるような重さを感じざるを得ません……「nina’s」の“愛情は手間暇に宿る”というこの思想は、2015年もじりじりと読者を締め上げていくことでしょう。
<トピックス>
◎おばあちゃんの知恵袋BOOK
◎特集 おしゃれ家族のおうちと暮らし、拝見! Home Sweet Home……
◎もりきみちゃんが大好きです。
■親が想定しうる「自由」
どんな高いブランドの洋服より、自分で仕立てたワンピースのほうが価値がある。さらに「母が(祖母が)娘時代に着ていたものをリメイクした」ものなら尚良し。ファッションに、インテリアに、どれだけ愛情や思想という“タグ”を埋め込むことができるかが「nina’s」で天下取れるかどうかの分かれ道なようです。
と考えると、今号の特集「おしゃれ家族のおうちとくらし、拝見! Home Sweet Home……」には、そんな家族愛あふれるストーリーと手間暇が満載です。デザイナー、日傘作家、フォトグラファーら、「nina’s」が大好きなクリエイティブ職業のパパママが自慢のお宅を披露しています。更新時期に焦って部屋探し、駅からの距離、なんとなくの間取り、なにはさておき家賃で部屋を決めてしまった筆者のような人間が読むと眩し過ぎて目が開けられません。都内通勤がちと辛そうな葉山や逗子の一戸建て、都内の古いマンションを全力リフォーム、子どもとの時間を大切にしたいからアトリエと住居を一緒に……あふれ出るこだわりとセンス。