カルチャー
[サイジョの本棚]

異端児、魔女、韓流ドラマ……「男性優位社会の脅威となる女性」の変遷をたどる

2015/01/09 19:30

――本屋にあまた並ぶ新刊の中から、サイゾーウーマン(サイ女)読者の本棚に入れたい書籍・コミックを紹介します!

■『女の哲学』(女性哲学研究会 監修:宇波彰、PHP研究所)

 『女の哲学』は、その生涯が映画化され、日本でも静かなブームを呼んだハンナ・アーレントら、7人の女性哲学者や芸術家の生涯と思想を紹介する一冊だ。最初に彼女らの波瀾万丈な生き方を取り上げることで、「哲学」に敷居の高さを感じる人でも手に取りやすい入門書となっている。

 サルトルと契約結婚を交わしたシモーヌ・ド・ボーヴォワールや、妹との浮気を知りパートナーとの性的関係を断ったフリーダ・カーロ、結婚と離婚を繰り返すスタール夫人――。時に周囲から理解されず、奔放な変わり者として見られる彼女らの言動は、愚直に自分の生き方を模索した足跡でもある。迷いながらも、当時の常識や世間からはみ出すことを選んだ彼女たちの道筋は、自分の人生を周囲から「変わった人」と言われない枠内に修正しがちな私たちの視界を揺さぶり、開いてくれる。

■『魔女の世界史 女神信仰からアニメまで』(海野弘、朝日新聞出版)

 『女の哲学』にも取り上げられたボーヴォワールを、大胆にも「魔女」として紹介しているのが、『魔女の世界史』。

 「魔女」という存在が、歴史上どのように捉えられ、扱われてきたかを駆け足で検証する本書。一般に考えられている「魔女」のイメージを飛び越え、「時代からはみ出してしまった女性像」の変遷を分析したものになっている。アート史やフェミニズム史を経て、現代日本におけるファッションとしての「ゴス」や、魔法少女もののアニメ・アイドルにも視程を広げ、ポップカルチャーと世界の女性史を地続きにする独自の魔女論を展開する。

 ここで取り上げられている魔女の歴史は、良くも悪くも「社会(男性)の脅威となる女性」を、「魔女」という異端の存在に置き換えてきた歴史でもある。「魔女」が生まれる裏には必ず、「社会が求める普通の女性像」の存在がある。その枠からはみ出してしまった女性を横断的に知ることによって、それぞれの時代が求める女性像をも知ることができる。

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