『サンジャポ』MXも匙を投げた、“アウト”人物・脊山麻里子に引導を渡す人物とは
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎それか、今井舞くらいか
痛かったり、嫌われたりというマイナスのシグナルを発している女性タレントを、売れてる売れていないの区別なく引っ張ってきて陽の元に晒す『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)。脊山麻里子がこの番組に出演したことに異存はない。「痛い」部分にツッコまれるのが前提の番組構成で、ツッコミ側にいるのはフットボールアワー・後藤輝基にチュートリアル・徳井義実、そしてアンジャッシュ・渡部健という、腕に覚えありの一流の面々。プロの手によるダメ出しに悶える痛い女、という画ヅラに、さぞかし彼女は映えるだろう。制作側の狙いはそこにしかない。しかし、背山麻里子、この設定にことごとく抗うのである。テレビ的に禁じ手の手法で。
今日は皆さんをじっくり料理しますよ、という冒頭の後藤の説明代わりの挨拶で、まずハイと挙手してわざわざ話を遮り「私、(日テレ)やめてから汐留来るの初めてなんです」と唐突に関係ない自己主張。それをたしなめた渡部に「頑張んないでくださいよ」。それをさらにたしなめたおのののかに「先生、ホラきたよ、早く!」と、MC陣におのを責めるよう指示。もう渡部も後藤も徳井も、ファーストコンタクトから辟易顔。
その後も、ピンクの猫耳つけて猫をじゃらしているところに、「こういう色合いを好む人は大抵メンタルに問題が」というツッコミが入ると、「そのジャンル分け、センスない!」。中途半端な別荘に中途半端な元TBSの女子アナ(無名、地味)を招いたくだりで、いらないグラビア情報の織り交ぜを注意されると「私にとって必要な情報なんです!」と、マジ調子でいちいち話の腰を折る。タチの悪い素人のレベル。本当にこの人、アナウンサーだったんだろうか。
これ、共演しているタレントたちからはもちろん、制作側の人間からも嫌われるだろうな。『サンデー・ジャポン』(TBS系)だのTOKYO MXだの、イロモノ扱いに長けた番組でも持て余し気味で、軒並み1回登板で終了しているところからも、その支持率の低さがありありと。最もやってはいけない禁忌も犯していた。「プロレスファン」を自称したのである。どう見ても付け焼刃のダンジョンで。「人生に似てるんですプロレスって」って語り入れてた。うわぁ。殺されっぞ本物のプロレスファンに。
もうこりゃ全方位的にアウト宣告。そのうち、嫌われていることすらいじられなくなるだろう。最期を飾る番組は何がいいかな。『アウト×デラックス』(フジテレビ系)の苦手タレント対面コーナーかな。でも「この女嫌いなんです」と名乗り出てくれる人間すら出て来ない気がする。『怪傑えみちゃんねる』(関西テレビ)かな。しかし、上沼恵美子が心底気に入らない相手に時々やる「秘技・ホメ殺し」も、あまり通用しないような気が。後日にヤンヤ悪口言うパターンもアリだけど、それじゃイマイチ溜飲が下がらん。やっぱり東野幸治か。ストレートに「お前、寒い」と相手の目を見て、半笑いで指摘してくれるの、東野くらいしかいないんだよな。決定! 脊山麻里子の有終の美を飾るのは『お笑いワイドショーマルコポロリ!』(同)だ。その前歯、乾かしたままで逝け!
◎守護霊インタビューもぼちぼち出るか
やっぱりどこの雑誌も「できれば触れないでほしい」と難色を示されるやしきたかじん妻・さくら原稿。さくらを書けるのはもうサイゾーウーマンだけ。って、別に目の覚めるような新情報とかじゃないんだけど。先日、なんとなくたかじんのHP見たら腰が抜けた。料金取る有料の方じゃなく、誰でも見られる、出演番組なんかが出てるヤツ。たかじんが亡くなる前は、淡々と各局レギュラーの番組情報等が提示されてたのだが。久々に見たら、ガラリと一変。もう、どこもかしこも「さくらのコメント」だらけ。例の「殉愛」系もてんこもりだが、すごいのは「ほんでも中途半端はあかん!やるなら徹底的に、プライド捨てて、あほなって、笑てもらえ、感謝せえ!!」等々の、「生前私にたかじんはこう言った」を、言語調で掲載しているヤツ。ひえええーっ。これもう完全に「詔」ってことだよね。コメントの最後には、必ず「office TAKAJIN 家鋪さくら」の署名付きで。頭が高い! ははーっ。
なまじ「たかじん」の冠を各番組に残してしまったゆえ、今後全てに彼女が関わってくる展開に。「こんな形にするために、たかじんさんの名前残したんじゃないのに……」という、出演者、番組関係者、いや、関西圏全体からのため息が聞こえてきそうだ。あと、彼女の元に落ちる金の音な。
ステルス状態からたかじんの死後スッと現れ、雑誌を抑え、テレビ局を抑え。本当に、未曾有のどてらいプロジェクトXである。この原稿、掲載されてるんでしょうか。
◎年に一度の思い出し作業
毎年師走になると楽しみなのは『29歳のクリスマス』(フジテレビ系)の再放送。前は『やまとなでしこ』(同)もやってたんだが。押尾学のせいで永遠に再放送の目が消え、こちらだけに。チッ。
働く女のリアル、酸いも甘いも知った大人の恋、独身キャリアの家族との関係などなど、本当に全てがちゃんと描かれてて、登場人物もイキイキしてて、面白いドラマだったなぁ、と見るたびしみじみ。いい恋愛ドラマなしで青春を過ごす、今の若い人が不憫になる。と言ったら「え? 携帯ない時代に、恋愛ってあったの?」と返されそうだが。
中高年の感傷は置いておくとして、再放送してくれるのはいいんだが、ちょっと編集が過ぎないか。話のつじつまが通じないレベルでカットされていて、しかもそれが年々だんだんひどくなっている。見ていて「こんなんじゃない、本当はここにあの伏線があるの。もっとちゃんと描かれてるの」とテレビの前で一人やきもきしてしまう。この作品、マライヤ・キャリーの歌う主題歌の権利の問題で、DVD化していないから、再放送を見るしか作品を知るよしががない。だからこそ、ノーカットで流してほしいのに。つまんない番宣CMのために変なカットされたと思うと、喧伝してるゴールデンの番組が憎くなる。
それとも、めちゃくちゃなカットをするのはもしかして、「今放送しているドラマが見劣りしないように」という真意があるのだろうか。穿ち過ぎかもしれんが。今のフジなら、あり得ない話じゃない気もする。
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。