カルチャー
イラストレーターが語る「LINE Creators Market」(後編)

LINEスタンプは儲からない!? 「スタンプ長者」に隠れるお寒い現状

2014/12/20 19:00
『アイドル好き女子の日常』より

(前編はこちら)

 前編では、イラストレーターのあらいぴろよさんにデコレーションメールとLINEスタンプの違いや人気傾向を聞いた。後編では「スタンプ長者」まで誕生しているという、「LINE Creators Market」の実情を聞いてみた。

――「LINE Creators Market」でのスタンプ販売は大金を稼げるという報道もありますが、実際のところはどうですか?

あらいぴろよ(以下、あらい) 私は、『アイドル好き女子の日常』以外にも、何種類かスタンプを販売していますが、正直もっと売れると思ってました(笑)。「LINE Creators Market」がスタートした早い段階での販売開始ができていれば、一獲千金の可能性はかなり高かったはずです。しかし、現在はさまざまなスタンプが乱立しているためなかなか難しい状況かと……。LINEスタンプの作成方法を教える学校もあるそうですが、そういった投資の回収はよっぽどのアイデアの閃きがないと難しいのでは……と思います。

――一見誰にでも始めやすい「LINE Creators Market」ですが、制作の厳しさというのは?

あらい 繰り返しになりますが、今はスタンプが当たるかどうかわからないため、せっかくの労力も空振りに終わる可能性があると覚悟しておいた方がいいと思います。販売する前にはLINE側の審査を通らないといけないのですが、いまは審査に2~3カ月かかることもあり、販売までのスケジュールも読めません。いま、はやっているものを作ったとしても、発売までにタイムラグがあるので、タイミングを逃すということもあります。審査基準も最終的にはLINEの判断になるので、「え、まさかこれが!?」というものに作り直しが発生することがあり、それはそれで結構なストレスです……。作り直しが入ると、また審査で待たされますしね。

 あとは、プロのイラストレーターだから売れるというわけでもなく、イラストが描けない方でも気軽に参加できるため、スタンプが飽和状態であることも厳しい理由の1つですね。審査を待ってようやく発売したと思っても、毎日何百個ものスタンプがリリースされてしまうので埋もれてしまいます。現状では、LINE本体では細かなカテゴリーがないので、爆発的に売れなければどんどん下層部に追いやられてしまうのです。

――プロだから売れるわけじゃないと実感したスタンプはありますか?

あらい 7歳の女の子が考えた「いか」のスタンプです。かわいいですけども、あれはある意味イメージ戦略も感じました。あとは純粋に内容が面白いものですね! 例えば、やたら高貴な物言いのスタンプとか。普段はそんな口調はしないけども、スタンプを使うといい感じで上から目線になれる感じがもう面白いです。ウケるスタンプは「絵がうまい!」「かわいい!」というより、本当の意味でアイデア力の強いものだと思います。

――だからこそ、新規参入者がどんどん入ってくるわけですね。

あらい 「LINE Creators Market」のように、コミュニケーションツールを作れる・参加できるというのはとても素晴らしいことだと思います。一獲千金を狙えるといった報道が多いため、申請が後を絶たないのかもしれませんね。ただ、空振りに終わるというリスクは高いので、それを踏まえた上でチャレンジした方が安全だと思います。

■あらいさんが手掛けたスタンプ『アイドル好き女子の日常』はこちら

最終更新:2018/08/09 12:21
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