カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「AneCan」12月号

「AneCan」に染み付いた、エビちゃん&もえちゃんの呪縛と“ワンランク上の女”目線

2014/12/03 19:00

■水面下のジタバタは語らない美学
 「AneCan」専属モデルの森絵里香さんの単独初表紙に伴い、「森絵里香が『色っぽかわいい』秘密」という特集が組まれていました。「かっこいい担当はもえちゃん、かわいい担当は友里ちゃん、上品担当は麗ちゃんと、みんな役割がすでにあって、私がモデルとして伝えるべきキャラクターがなかなか見つからなかった」「そこで、読者と同世代の女性として、私はどうやって見られたいのかって考えたんです。やっぱりモテたいし、女性としてきれいにしていたいし、みんなに『なんだかずるいよね~』ってちょっと羨ましがられる存在になりたいってことがわかりました。それを表現したら『色っぽかわいい』が誕生したのかもしれません」と、「色っぽかわいい秘密」ではなく、「アネサーの葛藤と乗り越え方」を語っていました。

 「AneCan」HPには、「AneCanの使命は、ただひとつ。アネサーにとっての“壁”を“扉”に変えること」とあります。壁をぶち破ったり乗り越えるのではなく、どこからか鍵を見つけて扉にしてしまう。「あら鍵がこんなところにあったわ」なんて展開、魔法の世界か少女マンガとしかいいようがありません……。だけど、森さんの話は、まさにこの「AneCan」の世界観そのまんまです。「雑誌の中でのポジショニングがわからず悩んでいた……(壁)。だけど、自分らしく愚直にやっていたらいつの間にか自分の確固たるキャラクター(鍵)が見つかった」ってことですよね、つまりは。

 ただ頑張ってやっていたら、キャラクターがいつの間にやら誕生するって……。質問なんですが、世の中こんなうまい話しあるんですか? 愚直な生き方が吉と出たのは高倉健さんしか思いつきません(合掌)。ちなみに森さんのきれいのために心がけていることは「私らしくいること」(HPより抜粋)です。うーん、ますます「AneCan」の世界観を体現しているお人だ……。

 森さんの発言はさておき、この特集から感じたことは、「トニセン3人、そろそろ卒業の時が近いの?」ということ。だから、カミセンの認知向上に努め始めているのですかね?いくら世間一般の会社で定年が延長されているからといってもトニセンの“その時”が近づいてきていることは確かです。雑誌としては下克上が起こってくれても面白かったけど、そんな雰囲気は残念ながらない。しょうがないから雑誌側が重い腰をあげてカミセン売り出し開始。そんな感じでしょうか? ただし、雑誌は“読者と同じくらいの年齢のモデル”が必要なため、追い出しに成功したとしても“追い出したらすぐ追い出される”という諸行無常な世界です。残念ながら筆者には、この戦いを見守って行くことしかできません。皆に幸あれ……。
(白熊春)

最終更新:2014/12/03 19:00
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