SMAPと舞祭組の間で……Kis-My-Ft2のアイドル担当・藤ヶ谷太輔に感じる“切なさ”
今回ツッコませていただくのは、Kis‐My‐Ft2の藤ヶ谷太輔の新たな楽しみ方。
近年は、アラサー&アラフォー女性の心を掴まないと大きくブレイクしないということは、嵐が実証済みであり、Kis‐My‐Ft2はその点で可能性を感じさせる存在だと思う。『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)などのバラエティは、「はやり芸人好き」の浮動票を掴むメリットがあるだろう。関ジャニ∞あたりにもその手の浮動票は多数入っているが、「ジャニーズっぽくないから良いよね♪」「芸人みたいで面白い」と言うことで、世間から白い目で見られない安全圏にいられるのは強い。なにしろ美形売りじゃないジャニーズには、アラサー、アラフォーが「いいよね」と言いやすい、言っても許される土壌があるからだ。
そんな中でも、藤ヶ谷や玉森裕太は、黄色い声を獲得した「アイドル担当」だが、玉森の場合は人気バラエティ『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)の「芸能人節約バトル1ヶ月1万円生活」に出演したという、大きな免罪符がある。また、藤ヶ谷の場合は『美男ですね』(TBS系)で「報われない2番手役」として「不憫好き」に支持され、続いて『理想の息子』(日本テレビ系)で主演・Hey!Say!JUMP山田涼介のバーターをしたところから、アラサー・アラフォー枠を多数獲得した。
実際、演技力は山田のほうがはるかに上だが、なにしろ「顔がよすぎる」「キレイすぎる」ことがネックになる山田の場合、何を言っても「結局、顔」と思われてしまうだけに、人前で堂々と「いいね」とは言いにくい空気が世間にはある。その点、セリフも多くなく、表情も少ない藤ヶ谷は、クールかつ不器用に見えて、母性本能をくすぐるのかもしれない。
とはいえ、順風満帆に見えた藤ヶ谷に、バッシングが襲いかかってきた。1つは、バーターでお世話になっているお得意先、SMAP・木村拓也との関係性によるものだ。例えば、『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』(フジテレビ系)に出演した際、主演の木村と連絡先を交換したことについて、木村に「藤ヶ谷くんに、番号を入れといてと携帯渡したのに、勝手に自分の携帯に発信してた」と暴露され、そのズレた図太さが露呈してしまったこと。
また、「Johnny’s web」内の連載「キスログ」で、木村と買い物に行ったことを勝手に書いたことに対して、木村がラジオで忠告したこともネット上で話題になった。でも、そんな藤ヶ谷が今、SMAPと共演するときなど、固い表情になり、「失言しないように」「叩かれないように」などとそれなりに考えていそうに見えることがある。
舞祭組のパフォーマンスを見るときも、笑顔の北山宏光や玉森に比べ、ほぼ「無」の表情で手だけ叩いていることが多い気がする。「考えている」というより、怒られないように「無」に努めているのか、その固い顔はほかの生き物に警戒心を示す鳥にも似ている。
「先輩にはすり寄り、後輩(特に若いうちにすぐデビューしたHey!Say!JUMP)にはキツくあたる」イメージも、一部ジャニーズファンの間では定着してしまっているが、もしかしたら笑顔を作るのが苦手なだけだったり、素直なだけだったりするのかもしれない。ちなみに、後輩に対して冷たいと思われがちだが、Sexy Zone・マリウス葉に対する媚びは異常で、アイドル雑誌では「可愛い」を連呼したり、時折「マリウチュ」という気色の悪い呼び方をしたりしているのも、謎だ。
また、過去には『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)で、持ち込み企画「藤ヶ谷太輔のガヤガヤしようぜ!」を提案、Jr.たちをゲストに迎えてガヤガヤすることを希望したが、コーナーはあっという間に終わってしまうという悲しいオチもあった。実は表現が下手なだけで、愛に満ちた人なのかもしれない。
ベストジーニストをとったというのに、アラサー・アラフォーにはそこそこ人気も出たのに、何だろう、この切なさ。時を経て今、「SMAPごしの藤ヶ谷」「舞祭組ごしの藤ヶ谷」から目が離せなくなっている。
(田幸和歌子)