「ガテン男に溺愛されたい」「フェラはNG」TL編集者が明かす“女がエロに求めるモノ”
──「ティーンズ・ラブ」というので、てっきり読者層は10〜20代だと思っていました。
白石 ネット配信になると、もうちょっと若いって話は聞きますが、雑誌は平均を取ると30代がメインです。既婚の方も独身の方も半分半分。顕著な差はありません。あと地方より東京の方が売れていますね。
小柴 それは人口比で仕方のないことですが、かつてはレディコミ誌だった「Young Love Comic aya」は、地方の主婦の方が多いかもしれません。スーパーとかコンビニで買っていただいています。
白石 TLではオフィスラブをテーマにしたものが多いですが、地方の主婦の方からは、「店員さんとの恋を描いてほしい」っていう読者アンケートが来ますよね。地方の主婦の方にとっての現実的な恋愛は、オフィスじゃなくて、スーパーなどの店員さんになるんです。
──セックスできる相手が身近にいないから、TLを読むんでしょうか?
松井 あんまり関係ないですね。読者には、経験人数が多い、少ないという特徴もありません。エッチに興味があるか、ないかだけ。経験がなくてもすごい興味がある人もいるし、経験豊富で、かつマンガでもエッチなものが読みたいという人もいますよ。彼氏と一緒に読んでいるという読者もいるくらいです。ただ共通しているのは、エッチなものをガッツリ見たいと思っていること。アンケートでも、よりエロい作品が好評なので、エッチなマンガだとわかるように、表紙に必ず女性の胸の谷間を出しています。出さないと売れない(笑)。でも逆に、肌の露出が多すぎると売れないんですよ。
小柴 女の胸の谷間が「エロさ」の目印になっているのかも。普通、人は、異性の体に対してエロいと感じると思われるかもしれませんが、TLでは、エッチシーンでも男の全裸はあまり出てきません。腕の筋肉だとか、フェチ的なパーツは描いてもらっているんですけど、むしろ、女の子の感じている表情でエロさを出しています。男性にこういうことをされると、女性がこんな反応をするとか……感じている女性の顔が描けないと、リアルなエロさが伝わってこない。
白石 読者は、感じてる女の人に感情移入しやすいのかもしれませんね。今TL界で、飛ぶ鳥を落とす勢いの山口ねね先生は、絵も可愛いし、やっぱり、そのときの表情も上手なんですよ。少女マンガ並みの胸キュンストーリーなのに、エロ描写も完璧です。
松井 あと、エッチシーンでポイントなのは、エッチしながら「可愛い」「たまんない」とか、言葉責め的な要素を入れて主人公を褒めることでしょうか。
──ほかにも、TLでの決まりごとはありますか?
白石 Sキャラや俺様キャラが多くて、エッチは必ず“男の方から”というのが基本です。男の前戯がなにより大切で、フェラシーンはウケないです。あるとしても、男が女に強要するのではなく、「そんなに前戯を頑張ってくれるのなら、私も!」という展開かな。基本的に女の子は、いちずで努力家のキャラになります。読者の反感を買わない主人公は絶対です。
松井 ビッチキャラでも「心は純情」、デキるOLのキャラでも「実は処女」とか。そういう弱みがないと、読者には受け入れられない。あと、女性が言われてみたい、甘いセリフを入れるのも大切ですね。
小柴 “いいセリフ”の例を挙げると……阿部摘花先生の『ダンナ様と溺愛花嫁』という作品があるんですが、主人公の女の子が彼氏に、「(あなたの)世界の一部にしてほしい」と逆プロポーズをすると、彼氏が「いや、君はすでに僕の世界の全部だよ」って返すんです! この彼氏は、主人公よりも15歳年上、Sキャラではなく主人公を溺愛するタイプのおじさんです。