突然のマリウス&ジェシーの「演歌」構想に考える、ジャニーズ×演歌の可能性
来年の元日から上演されるミュージカル『2015新春ジャニーズ・ワールド』の開催が10月29日に発表され、A.B.C‐ZやSexy Zoneのメンバーなどが会見を行った。それを報じる翌日のスポーツ新聞数紙に、Sexy Zone・マリウス葉とジャニーズJr.・ジェシーに関する演出についてジャニーさんが語ったとして、なんとも気になることが書かれていた。
<喜多川社長によると、見た目は外国人の2人があえて演歌を歌うユニークな構想も>(東京中日スポーツ)
演歌!? マリウスとジェシーで! ジャニ版ジェロって感じ?? 「?」と「!」だらけになってしまうが、ジャニーさんは2人を見て、何かまた新しい“Sexy”を発見したのか。ジャニーさんの考える「演歌」、どんなものなんだろうか。
まず、演歌といっても、さすがに袴でキメて、“デデデデデーーン、カーーッ”といった、北島三郎的王道ド演歌ではないとは思う。荒波は打ち付けない。雪ぐらいは降るかもしれないけれど、吹雪ではない。ソフト演歌路線なんだろう。
とか思っていたところ、11月5日に放送された『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)にマリウスがソロで登場、「雅 MIYABI」という曲を歌った。
「♪めぐりあいて ~ みしやそれとも~わかぬ~ま~に~~」
?? 和風の旋律で、琴がシャララララーンと鳴り、鼓がポンポンポンとアクセントをつける。
「♪くもがくれにし~よ~は~のつきか~な~~」
歌詞は紫式部の詠んだ和歌か。『ガムシャラSexy夏祭り』でも披露された曲だそうだが、演歌というより、チントンシャンな世界。もしかしてこれがジャニーさんの思い描く「演歌の世界」だったりする? これだとなんか、白塗りしたジェシーとマリウスが、「チッキショー!」と叫びそうでもある。「♪セクシーゾーンだーとおもっていーたーらー 演歌を歌ってまーしーたー ……チッキショー!」的な。
もともとジャニーさんの世界には、日本の伝統的な文化はよく登場する。歌舞伎をはじめ、和太鼓に三味線、巨大な龍のつくりものまでが、ジャニーさんの中でリファインされ届けられてきたわけだが、なぜ今、「演歌」なのか。マリウスとジェシーを見て、ジャニーさんの新しい方程式(ただし、ジャニーさんしか解法を知らない場合が多い)が頭の中で組み立てられたのだろう。「チッキショー!」が解法ではないと思う。
しかしよくよく思えば、ジャニーズが演歌的な世界とこれまでまったく無縁だったというわけでもない。例えばマッチ。20年ぐらい前、ラーメンのCM曲でヒットした「北街角」なんかは、かなり演歌的だった。関ジャニ∞も最初は演歌/ムード歌謡的アプローチでデビューしている。そして、演歌とはまた違うが、「青い山脈」や「買物ブギ」といった服部良一作品など、昭和歌謡の世界も積極的に取り入れてきたジャニーさん。
今回もそういった路線でいくのかどうか。それとも逆にジャニーズの世界に寄せた演歌の解釈をしてきたりして……って、それは、美空ひばりをシャカリキに歌い踊った「お祭り忍者」か。もういっそ、『ジャニーズ・ワールド』の2人にも「毬臼&寺絵師」といった、キラキラネームか暴走族センスな名前をつけるほどジャニーさんが突き抜けてくれると、よりステキだが。
そんな与太話的妄想を超えたものを、いつも届けてくれるのがジャニーさん。マリウス&ジェシーの「演歌」、楽しみです。
(太田サトル)