カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」11月7日号

現代だったら炎上案件、戸川昌子が「婦人公論」で“溺愛と虐待”の育児を語る

2014/10/30 21:00
「婦人公論」(中央公論新社)11月7日号

 今号の特集は「子どもの自立――老後資金と人生を奪われないために」。前々号の「友情」特集では「中高年の友達関係は“自立”と“自律”で成り立つのが理想」と唱えていましたが、自らの“自立”と子どもの“自立”、その両方を迫られているのが「婦人公論」世代です。リードにも「家を出ていかない、親の懐をあてにする、さらには高齢ニートまで。子どもに振り回されず、あなた自身の人生を楽しめるように、上手なひとり立ちへの導き方を考えます」とあります。結婚・出産という社会の枠組みが変わり、親世代のような経済基盤を持つのが難しい子世代の現状。考えてみれば、まったく異なる“現実”を抱えたもの同士が、家族という名の下に一緒に暮らしているんですよね。そりゃいろいろありますよ。

 特集冒頭のインタビューで尾木ママこと尾木直樹が「子育てに手遅れはありません。50歳からでも成長できるのだから」としみじみ語っていますが、“50歳になった子どもを親の手で成長させねばならないのか!”と、そちらにビックリ&ガックリ。一度その役目を負ったら、死ぬまで逃れられない“親と子”。「かわいさ余って憎さ100倍」なんて言葉じゃ片づけられない愛憎の世界が、そこにはあるようです。

<トピックス>
◎特集 子どもの自立――老後資金と人生を奪われないために
◎酔いどれ母と荒ぶる息子、溺愛と虐待のはざまで
◎「昼顔妻」のリアル

■参考にならなすぎて勉強になる戸川式育児

 尾木ママが“現代的べったり親子”に苦言を呈したり、シングルマザーの女優・池上季実子が壮絶な育児とその後の空の巣症候群を語ったり、また子どもの立場から多岐川華子が寂しかった幼少期を告白したり、千秋と大和田獏、そしてファイナンシャルプランナーの畠中雅子が子どものための出費に物申したり。前半はタレントたちのオフィシャルな言い分で占められたこの特集。教育評論家としての正論も、女優やタレントたちの苦難の末のストーリーも、言ってみればすべて己の飯のタネとして回収されていくもの。彼らはいつでも世間から「良き親」「良き子ども」が査定されているわけですから、それも仕方のないことでしょう。

 そんなタレントたちのぶりっこ育児から完全にはみ出しているのが、「酔いどれ母と荒ぶる息子、溺愛と虐待のはざまで」です。シャンソン歌手で江戸川乱歩賞作家の戸川昌子と、その一人息子である歌手のNERO。「83歳と37歳の“喧嘩上等”トーク」と銘打たれていますが、まぁ本当に“そこまで言って委員会”状態。小見出しだけ見ても「破いた通信簿とオチンチン」「小学5年生で決別を選んで」「死を目前にして最後の晩餐を楽しんだ」ですよ。オチンチン!

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