松村雄基が見せた、神様レベルの“男気”を素直に受け取れない深~いワケ
■第1位 松村雄基が「なんつっ亭」社長との旅で見せた “乙女心”
15日に放送された『アフリカ大陸3,700km 爆走!ポンコツラーメン屋台2』(テレビ東京系)はスゴかった。人気ラーメン店「なんつッ亭」の店主・古谷一郎と俳優・松村雄基という “特殊感” あふれる2人が、ラーメン屋台の軽トラでアフリカ大陸を大移動、現地調達した食材で作るオリジナルラーメンを各地で売って旅費を稼ぐという企画だ。2人は南アフリカの喜望峰から出発し、ナミビアを北上、アンゴラとの国境の街・ルンドゥを目指すのだが、道無き道を1日十何時間も軽トラで移動したり、気温0度の砂漠でキャンプをしたりと、これまたどえらい旅なのである。後半には、長時間の移動とラーメンの仕込みの繰り返しで、古谷の肉体と精神は極限状態に。MCのバナナマンやスタジオゲストのNANA(MAX)が、「過酷な道中、苛立ちがぶつかって仲たがいが起きないか」と、ヒヤヒヤしながらVTRを見つめるのだが、松村雄基のフォローがとにかく素晴らしいのだ。ラーメンが売れるように、書道の腕を生かしたレタリングでポスターやチラシを手作りする。できたチラシを街頭で配り、客を呼び込み、給仕をする。極寒のキャンプ場ではひとり早起きして、古谷やスタッフに温まってもらうため薪を買いに走る。古谷には調理にあてる体力を温存してもらうため、松村が車の運転を買って出ていた。
そんな松村の姿を見てバナナマン・設楽は「神様なの?」と感心しており、視聴者も「ホント人格者だよな~松村雄基」と、いたく同意するのだが、ここで「あれ? そういえば……あ、そうか」と、ある事実を思い出す。そして、「これでもし松村がノンケで、下心ゼロだったら、神様だよな~」と脳内で言いあらためるのである。「ちょっとヤンチャで真っ直ぐな彼のダイナミックな夢を、精一杯応援したいの(ハート)」。松村が甲斐甲斐しく古谷をサポートする姿は、まったくもって恋する乙女、いやさ、内助の功そのものであった。カメラマンは、しだいに立ってくる松村の小指を映さないように苦心したのではあるまいか。安宿旅行ゆえ、ホテルに泊まれるときはもちろん松村と古谷は同室だ。旅の終わりに感想を求められ、朦朧とする意識の中、古谷が語った「人種とか、肌の色とか、関係ないっすね」との言葉が印象的だった。「人種とか、肌の色とか」の行間に「性別とか」が含まれちゃいないか? ……見る者にそんな下衆の勘ぐりをさせる、強烈なドキュメンタリー作品であった。
佃野デボラ(つくだの・でぼら)
ライター。くだらないこと、バカバカしい事象とがっぷり四つに組み、掘り下げ、雑誌やWebに執筆。生涯帰宅部。タンブリング・ダイス所属。