くすぶっていた感情の正体を見たり!! 安彦麻理絵&田房永子、女の人生分岐点
それにしても、「恋」の話なんですけど、30~40代の子持ち女にも「できる恋」って、あるんじゃないかなって、思うんですよ! 私と一緒に模索していきませんか、合法的な、恋。BLとか宝塚とか仮面ライダーとかジャニーズとか、女の「トキメキ文化」ってハマると楽しそうじゃないですか。でも私、昔からそういうのがどうしてもノレなくて、東方神起のドームコンサート行って無理矢理目覚めさせようとしたんですけど、やっぱ長年浴びた呪詛には勝てないまま、ビッグエッグを後にしたんです。
そんな私でも、あったらハマれるんじゃないかなっていうのがあって、数年前に女性向けアダルトビデオの撮影の見学に行った時のことなんですけど。ムータンっていう、綾野剛みたいなルックスの巨大なチンポを持つイケメン男優が、自分でシコシコしてるシーンを、同世代の女たち(撮影スタッフ)と息を殺して見つめたんですね。それがなんか、すっごく楽しかったんです。
カットが入ると、みんな頬を赤らめて「いいね~」「あ~いいわよねえ」なんて言って、また始まるとジッと見る。20代の頃だったら、赤面しちゃう自分を嫌悪してたんじゃないかと思うけど、落ち着いてジッと見れました。すると、しばらくして、湧いてきたんですよ。温泉が……。自分の体内から、温泉が湧いてきたんですよ!
性的ムラムラを超越した何か、体の底から元気と勇気とやる気と井脇ノブコがコンコンと湧き出してくるような、人間としての根源的な「気」が猛烈にそそり上がって来たんです。セックスとは違う、1人でエロいものを見てるときの雑な排他的な感じとも違う。「可愛い男の子が、大きなチンコをシコシコするのを、女たちと一緒に見つめる」という行為は、「20代の恋」とは違う35歳以上の女にだけ許されるワンランク上の“新たなる遊戯”であると確信してます……。
「可愛い男子のシコシコが見れるBAR」があったら行きたい! そういえば、半裸にシルクハットと蝶ネクタイ姿の外国人男性のビキニパンツにお札挟むお店(ショーパブ的な)、あれに行く時が来た! と思ったんですけど、ああいう系のお店ってもう今ほとんどないんですよね……。なので、ときめき文化を模索中です!
麻理絵さんはどういうのでときめくのか、今度教えてくださいねっ!
田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年、東京都生まれ。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業。2000年に漫画家デビューし、第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。12年、自身の母親との関係を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)が話題に。近著に『ママだって、人間』(河出書房新社)『呪詛抜きダイエット』(大和書房)。