感情を解き放って「自分が満足状態にあること」=モテだと促す、「ar」の残酷さ
ビューティ&ファッション誌「ar(アール)」(主婦と生活社)に、文化オジサンのミューズ・能年玲奈が登場です。インタビューは「モテ」がテーマ。「モテる人と聞いて思い浮かべる人は?」という質問に次のように答えていました。
「小泉今日子さん。周囲の人をグイグイ引っ張って行けるリーダー性があり、男性からも女性からも本当にモテます。優しい母性を感じるし、コトバのセンスが最高なんです。最近、憧れの小泉さんに、ミシンをプレゼントして頂いたのをきっかけに、休日によくお裁縫してます。今日私が着ているジャンパースカートも自分で縫ったんです」
アイドル女優として100点満点といえる素晴らしい回答ですね。ドラマ『あまちゃん』(NHK)で母親役を演じた小泉の名前を出すということは、最高のファンサービス(能年ファンのほとんどは『あまちゃん』で能年を知った)ですし、芸能界の最強派閥と言われる“小泉会”への切符を手にしたも同然です。「男性からも女性からもモテる」という小泉に対する評価は、「私自身も、男性に媚びないし、だからといって女性ウケだけを狙っているわけではない」という宣言を兼ねています。「コトバのセンスが最高」とは、「私にはそれを理解できるインテリジェンスがある」という意味の裏返し。さらに、「ミシン」「休日に裁縫」の話題を出すことで自身のクリエイティビティをさりげなくアピールしつつ、「オフにオトコと遊んでいるチャラい女優とは違う」というプライドの高さも見え隠れ。能年を支持する文化オジサンへの目配せも感じられます。本当にパーフェクト! 世間一般では“天然ボケ”“不思議キャラ”“シャイ”と言われていますが、その演出も含めてなかなかの策士ではないかと思われます……!
<トピック>
◎初主演! 能年玲奈 モテ女で生きるっ!
◎モテのためにする10のこと
◎モテる光を味方につけたいの キラキラ女子でいくっ!!!
■能年ちゃんは「いつもゴキゲン」ではなさそう
さて、今月号のテーマは「モテ」。能年のグラビアページにも「初主演! 能年玲奈 モテ女で生きるっ!」とタイトルが付けられていますし、そのほかにも、「モテのためにする10のこと」「Every day おしゃモテ3分アレンジ」「アノ子に聞いたモテの素」「モテ子の前髪カタログ」など、モテに関する企画がズラッと揃っています。といっても、一般的な男子が好きそうなコンサバ系のファッション&メイクには目もくれないのが「ar」。志村けんの「いっちょめ、いっちょめ」を彷彿とさせる白鳥の羽のようなスカートをはいたり、頭の上にサングラスを3つ盛ってみたり、好き放題。「ar」における「モテ」の定義がサッパリわかりませんが、好きなものを好きに着るのが「ar」の流儀なのでしょうが、ないですね。気になったのは、むしろ内面です。あらゆる企画の端々に、次のようなメッセージが掲載されていました。
「面白いことがあったら、無邪気に笑う! 悲しいことがあったら、涙を見せる! オトナになったら、感情を抑えることが美学と言われることもあるけれど、自分の心の声に素直に向き合う女の子はストレートで魅力的」(「初主演! 能年玲奈 モテ女で生きるっ!」より ※能年の言葉ではなく編集部の文章)
「自分の感情に素直でいる。笑ったり、泣いたり、あくびしたり、スネてみたり……自分の感情にフタをせず、気持ちに正直でいるって、実はとっても大切。『会うたびにいろんな表情をする子を見るとキュンとする』と、男の子もロックオン」
「ゴキゲンでいる。見てると思わずつられ笑いをしちゃうくらい、いつもゴキゲンな女の子は、もはや全人類の宝と呼びたいほど。自分をいーーっぱい愛して、毎日をキラキラに彩って。シアワセがどこまでも伝染しちゃうような“ハッピーウィルス”になりましょ」(「モテのためにする10のこと」より)
「男子との会話中は、いつもより喜怒哀楽をわかりやすく。そうすると『お前って本当わかりやすいよなー』とか言われて、一気に距離が縮まる気がします」(「アノ子に聞いたモテの素」より)