『UTAGE!』の「歌がヘタな舞祭組」イジリが、まったく面白いと思えないワケ
今回ツッコませていただくのは、8月11日放送分『UTAGE!』(TBS系)。
「何事も食わず嫌いはいけない」と思い、久しぶりに同番組を見たのだが、出演者はKis‐My‐Ft2のほか、Aya(E‐girls)、今井絵理子、KABA.ちゃん、川畑要(CHEMISTRY)、指原莉乃(HKT48)、島袋寛子、高橋みなみ(AKB48)など、「久しぶり」感をまったく覚えない顔ぶれ。
しかも、相変わらず「舞祭組の歌がヘタ」ということで笑いを取っており、「まだこれ、続いてるのか……」と唖然としたが、その後も出てくるもの出てくるもの、ことごとく「舞祭組の歌のヘタさ」であることには驚愕した。パラレルワールドにでも迷いこんでしまったんじゃないかと思うほど、地獄の無限ループ状態だ。
ただ、それもそのはず、この日の目玉は「舞祭組反省会スペシャル!」だった。メニューを表に掲げていたのに、それを読まずに入ってしまった「うっかり客」の方が悪いに決まっている。完全にこちら側の失態で言い訳のしようもないのだが、これ、「『今はやってるらしいから』と何度か食べに行ってみて、全然おいしくなかったラーメン屋に、『もしかしたらあのとき、自分の体調が悪かっただけかも』『あんまり空腹じゃなかったからかも』『開店当初はおいしくなかったけど、今はおいしくなっているのかも』と思って再び行ってみて、やっぱりまったくおいしくなかった」パターンによく似ている。
May J.の歌がうまいからといって、何ら感動することもないように、「歌がただうまい」とか「歌がただヘタ」というだけで、単純に感動したり笑ったりできることって、そうそうない気がする。人の心を動かすものは、うまい・ヘタを越えたところにあると思うからだ。
でも、実は嫉妬心もある。「舞祭組、超面白い~♪」といったTwitterのコメントなどを見るたび、どうせならその面白い祭りに乗ってみたい思いもあるし、渋谷駅前でサッカーユニフォームを着てはしゃぐ若者を見ると、「この人たちは幸せなのだろう」とも思うし、祭りに乗れないことでちょっと損している気分すらある。だからこそ、「次に食べたらおいしいかも」「次に見たら面白くなってるかも」と希望を抱き、時々味わってみるのだが、何度試してみても楽しめない、自分のストライクゾーンの狭さが実に口惜しい。
なぜなのか。1つには、MCのSMAP・中居正広と舞祭組との「主従関係」にも似た、「会社の上司と部下の関係」のような絶対的な上下関係があると思う。「おまえらさぁ~」とかいった物言いも、「ヤンキーに見えて実は優しい」のだろうし、舞祭組をオイシくするためなのだろう。
また、他事務所の「ちゃんとした歌手」の方々に出てもらって、ヘタくそな歌とコラボしてもらうことも、「プロの料理人を呼んで、闇鍋を作る(ただし、関連企業や引退気味も?)」みたいで、失礼な気がしてしまうのだが、それも料理人にとって久しぶりに腕を振るう現場であったり、楽しんで取り組んでいたりするのなら、外野がどうこう言う筋合いはまったくない。
出演者たちがエンドレスに同じことをやり、楽しんでいて、それを楽しいと思って見る人たちがいるのなら、何も問題ないはずなのだが……しみじみ「これを面白いとまったく思えない」ことが残念でならない。
(田幸和歌子)