アラフォー女性を「憧れない」とバッサリ! 斎藤工に見る「DRESS」の“俺様”感
母と娘の問題が取り沙汰されて久しい現在、この特集で読みたかったのは、親と縁を切った後、気持ちを整理するための具体的な方法という、もう一歩踏み込んだ部分です。具体的には、疎遠にしていた親が死んだ後、子どもはどう思うのか。「親を許してやれ」と言う人たちは、親が死んだ後のことを思って言っているのでしょうから、「親が死んだ時、疎遠にしていたことをよかったと思えるか、親孝行しておけばと後悔するか」を一番知りたいのです。疎遠にしてもいいんだ、言いたいことを言っていいんだ、という情報はすでに周知のはず。アラフォー向け雑誌で、今このタイミングで母娘問題を取り上げるのなら、新しいステージの情報が必要だったのではないでしょうか。
■斎藤工よ、なぜ「DRESS」に出た?
「北川悦吏子さんの恋愛塾」という連載では、毎回イケメンが登場して、自分の恋愛観を聞かせてくれます。北川さんが聞き上手なのか人選がいいのか、毎回イケメンがかっこいいことを言ってくれます。今回は城田優が「絶対に二股はかけない」とやけに誠実なことを語っていました。
また今月号には「もしもあなたの『人に言えない恋』の相手が、斉藤工だったら」というインタビューが掲載されています。話題のドラマ『昼顔』(フジテレビ系)の番宣でしょうが、この記事がトンデモない内容だったんです! まず最初の小見出しは「女性って本当に怖い。ますます結婚が遠のきます」。なぜかというと「ブヨはメスしか刺さないらしい、どの世界でも女は強くて怖い」から。いきなり生物学的にこじつけての発言です。
その後も、女へのプレゼントは難しいからもっと具体的に指示してほしいとか、女の会話の内容がつまらないとか、女に対する批判とも取れる意見の嵐! そして「DRESS」世代の女に対しては、「単純な憧れはもうなく」て、単に「ケンカしたくない世代」だそうな。ケンカ売られているインタビューにしか思えなかったんですが、買っていいですかね。
本人の言葉はもっと辛辣だったのでしょうか、それともライターがわざと嫌な男に仕立てたのでしょうか。アラフォーの読者からしたら若造である33歳の俳優が、年上の女を批判して「俺は恋愛しない」と言っているだけのインタビューに取れるのですが、これを読んだ読者にどうしろというのでしょうか。しかしそもそも、これを掲載してもOKと判断した編集部は、かなりアラフォー独身女の男に対する評価を甘く見ている気がします。
もう20年も男社会の中で働き続けているアラフォー女たちにとって、(個人的に信頼できる相手は別として)一般的に男は無条件に尊敬する対象でもないし、説教してほしい頼れる存在でもないはず。男に媚びる気持ちもないのだから、この記事を読んでも「プレゼントはちゃんと指定するように、気をつけなきゃ」という気になるはずありません。そういう男を立てることを、さらっとやってのけたアラフォー女は、今頃「VERY」(光文社)を読んでいるのかもしれません。どうも「DRESS」って、企画自体もそうですが、言葉の端々に“俺様男性”の視点を感じるんですよね。相手を尊重する気のない、傲慢な男の意見を聞くなんて、仕事だけで充分なのに……と思ってしまった今月号でした。
(増井涼子)