コラム
【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

家庭を守るために「家庭外でセックスする」夫婦間セックスの葛藤に一石を投じるおしどり夫妻

2014/08/09 16:00

「既婚者が『後腐れないセックスしようよ』と誘っても、相手は『どこか裏があるんじゃないか』と勘ぐるんですよね。そこが、面倒ですね。今では出張ホストと出会い系で相手を探しています。出会い系サイトで知り合った人もいますけど、金銭的に余裕がある時は、出張ホストが一番便利ですね。こちらから何も言わなくても、自然と要求に答えてくれますし、なにより一般人よりも安全、安心ですから」

 ご主人の行動は把握してはいないが、「多分、風俗に行っているだろう」という。あまりのさばけた言い方に、思わず「ご主人の行動に、嫉妬心は感じないんですか?」と質問してみた。すると「感じませんね」と即答されてしまった。

「だって私たちは、この家庭を大事にするために……私は主人を、主人は私を大事にするために、家にセックスを持ち込まないようにしました。今は本当に幸せで、前以上に仲良しですよ!」

■けれど「母にはなりたい」理由

 晴れ晴れとした表情をしている美弥子さん。しかし筆者がこう質問すると、さっと表情を曇らせた。「子作りは、お考えではないんですか?」。

「子どもは……両家の親から切望されています。特に主人の実家は、一族のつながりが強い四国なんですよ。私もそろそろ出産のボーダーラインである35歳が見えてきたので、真剣に主人と話し合わないといけませんね」

 「セックスを持ち込まない」ことで、今の家庭を築いてきたけれど、「子どもは絶対に産みたい」と美弥子さんは言う。

「主人の子どもを産みたい。それから、今度こそセックスから解放されたい。“母親”という免罪符がほしいんです」

 そんな美弥子さんに、家庭外で不特定との男性とのセックスすることに名前を付けるなら、と訊ねてみた。

「ただの『性欲処理』ですけど、法的には不倫、罰せられる行為でしょうね。ただ、生活を共にして、性欲も満たされている夫婦なんて存在するんでしょうか?」

 筆者からも見ても、円満な美弥子さん夫妻。本当に血を通わせた兄妹のように、お互いを尊重し、思い遣り、愛し合っているんだなと思えた。2人の在り方は、家庭とセックスの均衡を保つために翻弄している夫婦に対して、一石を投じているのかもしれない。
(文・イラスト/いしいのりえ)

最終更新:2014/08/09 16:00
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