コラム
【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

家庭を守るために「家庭外でセックスする」夫婦間セックスの葛藤に一石を投じるおしどり夫妻

2014/08/09 16:00

 
 美弥子さんの勘はぴたりと当たった。似た者同士のご主人と美弥子さんは、合コンを機に付き合い始めた。互いのアパートを行き来したり、2人の共通の趣味だった映画デートを重ねて、1年半後に結婚。現在は結婚3年目になる。その暮らしはというと、「『前世で兄妹だったのかも』っていうくらい、お互いの空気が一致している」そう。普通、ある程度窮屈な思いをしそうなものだが、「家族と暮らしているときと同じ感覚」なのだという。

 「土日の休みは、1日は自宅か映画館で映画を見て過ごし、もう1日は2人で家事をこなして、外食をしたい」「結婚記念日や誕生日などは、2人でおいしいものを作って、家で過ごしたい」。そんな暮らしの中の些細なこだわりの一つひとつが、まるで同じ環境で育った2人のように一致したのだ。

■家庭内セックスからの解放

 しかし、美弥子さんにも、ご主人との生活の中でずっと「不自然」に感じていたことがあるという。それはセックスだ。

「主人も私も、もともと性に淡白だということもありますが、交際していた時から、主人とのセックスに違和感を抱いていました。なんだかこそばゆい、っていうか……」

 時間が合う時には、必ず2人でお風呂に入るほど仲がよいけれど、「裸になっても欲情することはなく、まるで触診のように『もうすぐ生理?』『そろそろかな』などと言い合う仲」だという美弥子さん。それでも、恋人・夫婦であれば、セックスは「しなければならない行為」だと感じていたという。しかし、ご主人の言葉をきっかけに、美弥子さんは“解放”されることになる。

「月に一度、給料日後の夕食の後。ベッドで主人が私のパジャマをまくり上げながら、申し訳なさそうに『やっぱり、した方がいいんだよね』って、言ったんです。ああ、同じことで悩んでいたんだ。まさかこんなところまで同じだったんだ! と、本当にうれしかった」
 
 実はお互いに同じことで悩んでいたと共感し合えた2人が、「家庭外セックス」を解禁にしたのは、結婚して2年ほどたってから。

「唯一のルールは『本気にならないこと』。『大事なのは私たちの家庭』ということを最重要項目にして、外でのセックスを楽しんでいます。淡白とはいえ、主人にも私にも性欲はあります。けれどそれをお互いで解消しようとすると、余計にストレスになってしまいます。主人と私との間には、運命のように感じた強い信頼関係があるし、2人で日々築かなければならない生活もある。2人の生活を守るために、性欲は外で発散するというのが、私たち夫婦の結論なんです」

 美弥子さんはその後、数カ月に一度、アルバイト先の知人や同僚などと関係を持つようになったというが、彼女の「本気にならない」という思いを理解してもらえないという理由から、今では知人男性には手を出していないという。

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