家庭を守るために「家庭外でセックスする」夫婦間セックスの葛藤に一石を投じるおしどり夫妻
家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃない? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。
知り合いの既婚者女性に、「パートナーとの仲」について訊ねると、たいていが「兄妹みたいな関係」と返ってくる。結婚前は恋人同士だった2人。最初は手をつないだり、キスをすることにも恥じらい、セックスの時には、電気ひとつ点けるのもためらってしまう……そんな初々しい時期があったはずなのに。結婚して晴れて夫婦となり、ひとつ屋根の下で共同生活をするようになると、恋人の頃の気持ちを保つことは難しいのだろう。しかしその一方で、夫婦仲睦まじくいるためには、「いつまでも男と女でいた方がよい」という価値観に縛られ、そのジレンマに悩んでいる夫婦は少なくない。そんな中「家庭外にセックスを求めること」を突破口に、よりよい夫婦関係を築いたという女性に話を聞いてきた。
■出会いは“自暴自棄”になった合コン
三十代前半の美弥子(仮名)さんは、小柄で中肉中背。淡いイエローのノースリーブのワンピースと、明るい色のショートヘアが似合う彼女は、どこにでもいる普通のOLといった雰囲気だ。結婚3年目の美弥子さんは、フルタイムで働き、子どもはいない。今はマイホーム購入を目指して、1LDKのアパートにご主人と2人暮らしで、貯金に勤しむ日々を過ごしているという。美弥子さんとご主人が知り合ったのは、今から4年半前のこと。
「大学時代から付き合っていた彼と別れてしまって、とにかくつらくて……友達や会社の同僚から合コンに誘ってもらって、毎週2~3回は行っていました。その時に知り合ったのが、今の主人です」
大学時代から付き合っていたという元カレとは、「結婚するものだとばかり思っていた」という美弥子さんのショックは計り知れない。当時の合コンラッシュを「完全に自暴自棄になっていました」と振り返る。しかし、そこで出会ったご主人は、美弥子さんの理想の男性像にぴったり当てはまっていたという。
「きちんと仕事を持っていること、借金がないこと、煙草を吸わないこと。それから私は人見知りで、男の人がそれほど得意ではないので、あまりモテそうにない人が理想でした。当時の主人は、口数は少ないけれど気配りができる優しい人で……盛り上げ役の男の子が空けたグラスを下げたりとか、お皿を渡したりとか、まわりの話を聞いてニコニコ笑っていましたね。そんな主人を見て、『この人と結婚する』ってピンと来たんです」