今井翼、中山優馬、佐藤勝利に見る、ジャニー氏の“スペオキ”への愛と暴走
今回ツッコませていただくのは、ジャニー喜多川氏の「スペオキ(スペシャルお気に入り)」の奇妙な愛し方。
「ヤンチャ」「天真爛漫」「野球ができる」など、ジャニーさんの「スペオキ」と言われる人にはいくつかの傾向があるが、こと顔に関しては大きく分けて2つのタイプがある気がする。1つは、KinKi Kids・堂本剛を頂点にした、かつてのタッキーやかつてのHey!Say!JUMP・中島裕翔などの、「黒目がち小犬顔」ライン。もう1つは、郷ひろみから脈々と続く、今井翼、中山優馬、Sexy Zone・佐藤勝利に至るまでの「太眉毛+目ヂカラ+こってり濃厚顔」ラインだ。
まず今井翼。一般的にタッキーのほうがスペオキと思われがちだが、ジャニーさんにとってタッキーはKinKi Kids・堂本光一と同じく、溺愛というより「信頼関係」に見える。唐突に電話をしてくること、時折乱暴な扱いをすること、大事な舞台を任せていることを含め、頼もしいビジネスパートナーなのではないだろうか。対して、今井翼、中山優馬、佐藤勝利は、顔の系統だけでなく、「何がやりたいか聞いてもらえ、やらせてもらえる」共通点がある。
今井翼の場合、フラメンコにハマりすぎてスペイン語を勉強し、スペイン親善大使にまで就任された。おまけに、元野球選手の屋鋪要リスペクトが高じて、ヘンなチョビヒゲになり、アイドル道からどんどん外れているのに、実に楽しそうだ。
一方、中山優馬に対しては、「何でも好きなものを与える代わりに、一番欲しいものだけは奪っていく」ように見える。いきなりドラマに主演させ、本人のフルネームを冠した関西Jr.たちとのグループを作った後、関東Jr.とのグループ「中山優馬with B.I.Shadow」を作り、そこに既存のグループHey!Say!JUMPから人気メンバー・山田涼介と知念侑李を加えてNYCboysを結成。さらに、不要になったB.I.Shadow 切り離してNYCにした後、NYCが仲良しになると、グループの活動を停止させ、引き離してソロにするなど、常に優馬を一人ぼっちにさせるひどい仕打ちを続けてきた。
優馬が大学に行ったのも、実は友達が欲しかったからで、大学を辞めたのも、あまり友達ができなかったからということなどを「Myojo」(集英社)の10000字ロングインタビューで語っているように、いつも特別扱いされ、孤独な優馬。センターにされるつらさ、スペオキならではの「愛されすぎる孤独」は、繊細で優しすぎる優馬を苦しめてきたはずだ。
そして、佐藤勝利。照れも謙遜もせず、「ユーは特別カッコいいよ」とジャニーさんに言われたと自ら言える素直さや、スキルも人気もまだまだながら、疑いを抱かずセンターにいることのできる太さ・真っ直ぐさは、何よりブレない強さを感じる。さらに、ジャニーさんの「暴走」がますます進み、「セクシーゾーン再編成」でマリウス葉、松島聡が切り離され、3人体制となる「異常事態」にも、折れない・病まない精神力は、やはりスター性なのだろう。
ちなみに、佐藤勝利の尊敬する先輩は中山優馬で、中山優馬の尊敬する先輩が今井翼というのも、敷かれたレールに見える。同じ愛を受けても、1人は我が道を行き、1人は苦しみを背負わされ続け、1人は真っ直ぐ受け留め続ける、「スペオキ顔」ライン。
余談だが、そんなジャニーさんに今オススメしたいのが、現在放送中の深夜ドラマ『アオイホノオ』主演の柳楽優弥だ。原作に非常に忠実に熱演しており、ドラマの内容も非常に面白いのだが、太眉+目ヂカラ+こってり顔を見るたびに「ジャニーさんが見たら、うっとりしそうだな」と思えてならない。新しい興味の対象を見つけて、愛がもっと分散されれば、暴走に歯止めがかかったりしないかなあ……。
(田幸和歌子)