社会問題を語る女性ファッション誌「VERY」が、それでも夫に頭が上がらない理由
昨今の女性誌では、彼に合わせたファッション「彼カジ」が特集されることが増えてきました。彼にとって足手まといになるような女の子らしいファッションよりも、彼と歩いても違和感のないカジュアルファッションの方がいいという風潮なのでしょうか。男の目うんぬんだけでなく、そもそもコンサバよりカジュアルファッションがはやっていることも関係があると思いますが。
「VERY」(光文社)でも、これまで「旦那さんから借りたアイテム」また「バーベキューや子育てで汚れても平気なアイテム」などが取り上げられたことがあります。カジュアルファッションは、雑誌の中の1つの軸になりつつありました。しかし、「VERY」の旦那さん世代は、バブルの残り香の記憶もあるアラフォー世代かそれ以上。彼女に自分と同じような服装を望む男子大学生とは違い、カジュアルよりも女らしいファッションしてほしいというのが本音なのではないでしょうか。
<トピック>
◎旦那様も納得! Tシャツに“女っぷり”盛り方講座
◎それでも子どもたちへの想い……
◎辻村深月『クローバー・ナイト』
■メッセージTシャツをめぐる夫婦のいざこざ
今月号の「旦那様も納得! Tシャツに“女っぷり”盛り方講座」は、「流行のカジュアルファッションを追うあまり、女らしさが置き去りになっていませんか?」という特集です。トレンドを意識するだけでなく、ほんのひと手間で“愛されコーデ”になる方法を紹介しています。
同特集には、旦那さんが不満に思う奥さんのコーデ例とその理由が出ているのですか、なかなかのパンチ力でした。まず、「Tシャツ×スウェット×スニーカー」には「部屋着感が出過ぎ」。また「Tシャツ×ショーパン×つっかけサンダル」は「海水浴に行くわけじゃあるまいし」。また「首つまりアイテム」は「体操着を彷彿とさせる」と、文句が出るわ出るわ。
ほかにも、「DO IT YOURSELF」というメッセージTシャツには「疲れて帰ってきたのにそりゃないよ」というトンデモな注文も! Tシャツのメッセージにムカつき、ムカつかれるような生活をしているなんて……と思わずにはいられません。もちろんこのメッセージTシャツがきっかけで、即夫婦喧嘩になるということはないでしょうし、旦那さんが安心感から奥さんに甘えているだけかもしれませんが、これは夫婦間のすれ違いを生むきっかけになりそう。「VERY」妻の旦那さんだけに、それなりに稼いでいるとは思いますが、その夫婦バランスが崩れた時、果たして奥さんが旦那さんの甘えにつきあうかどうかは未知数です。
しかし旦那さんの一言って、「VERY」妻にとっては、とてもよく効くものなんですね。 「VERY」は今、「社会問題に対して一家言あるぞ」という方向性に進んでいますが、それも家庭という基盤があってのこと。旦那さんの一言でファッションを変えようとする姿勢からは、今の生活を手放してまで、社会に物申したいわけではない……という本音が透けてみえます。社会よりも自分のアイデンティティが大事。妻であり、母であり、女である、という三角形のバランスが悪くなることは、社会問題より心にズシリと響くことでしょう。