サイゾーウーマンカルチャースポット「女」が女を批評するワケ カルチャー 『女子の人間関係』刊行記念トークショー 「女」が女を批評するワケ――水島広子×小島慶子が語る、女のしんどさ 2014/07/18 17:00 小島慶子トークショー水島広子 ■女の中の“オヤジ”が女を差別している 『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版) また、小島氏は女性における「内面化された男性の視点」について次のように指摘した。 「『あの女、整形したよね』『あの服はダサい』と、自分の中にあるオヤジ視点でほかの女をこきおろす人がいます。自分が男に品定めされるというイヤな思いをしているからこそ、ほかの女性に対してオヤジ視点で品定めする。この内面化した男性の視点による値踏みのし合い、ダメ出し合いからどう自由になるかがテーマだと思う」(小島氏) 現在、オーストラリアに在住し、夫が専業主夫を務めている小島氏自身も、男と対等に稼いでいるという自負から、「内面化された男性の視点」による差別意識が自分の中にあったと明かす。 「男と同等に給料をもらっている私は“特別な女”だから、旦那もそれに見合う特別な男じゃないとイヤという気持ちをずっと持っていたと、昨年夫が仕事を辞めたときに初めて気づきました。男優位の社会で男性の抑圧と戦っていたはずだったのに、それを乗り越えたときに、いつのまにかほかの女性を差別していた。私、オヤジだったんだ、こんなイヤな女だったんだ、男と戦って対等になる=女の味方になるとは限らないんだ、と思い知りました」 未婚VS既婚、子なしVS子持ち、ワーキングマザーVS主婦という立場の違いにより、しばしばネットなどで論争になるのは、女性がどの立場を選んだとしても必要のない劣等感を抱き、それを乗り越えたときに優越感を持つからなのかもしれない。自己評価の低さに傷ついた心と攻撃性は、表裏一体のものなのである。 「子どもを産む前は、『子どもを産んだ人って仕事がいいかげん』と子どもがいる女性を批判していたのに、自分が子どもができた途端に『子どもを産んでない人は世間知らず』と急に言いだす女性が結構いるんです。そういう女性を見ると、本当にイヤな気持ちになってしまう。今の自分の人生が、別の人生よりも幸せだと思っていないとやってられない時があるのはわかります。仕事や家事、子育てに追い詰められて、『もっと素敵な人生があったんじゃないかしら』と思うことは誰にだってあると思う。その時に、ほかの女性の人生をうらやんだり否定したりすることで、自分の人生を受け入れようとするのではなく、『あんなに輝いている人でも、私と同じように追い詰められた気持ちを味わっているのかもしれない』と想像すれば、たとえ趣味や旦那の職業や子どもの教育方針がまったく違っても、話が合う瞬間があるし、いたわり合ったり制度作りで協力し合ったりできるかもしれない。それなのに、ダメ出し合い、悪口の言い合いになるのは残念でならない」 「男性は、最近はいろんなライフスタイルが出てきたとはいえ、まだ均質化している。だから、男性同士で『男はつらいよ』とわかり合いやすい。女性はライフスタイルが多様な分、自分の知らない人生について批評家のようになる傾向がある」(水島氏) 本書の中で、水島氏は次のように述べている。「『女』についてよく知り、自分自身の『女』度を下げ、ほかの女性にもよい影響を与えることができれば、それは女性全体の力につながるのです。今まで『女が強くなる』と言うときには、『男のようになる』という文脈で語られることがほとんどだったと思います。しかし、『女』に注目することによって、女性として楽しめることを失わないまま、しなやかに強くなることができます」。女子は陰険、女子は面倒……と「女」からいち抜けることで「女」を否定し、男性化することで力を誇る時代は終わった。これからは、傷ついた「女」を癒やし合いながら、女性としての真の力をつけていきたい。『女子の人間関係』は、その指南書となっている。 (安楽由紀子) 前のページ12 最終更新:2014/07/18 17:00 Amazon 『女子の人間関係』 オヤジじゃなくババアを内面化しましょ 関連記事 「セックス信仰が強いと女は不幸になる」工藤美代子氏が語るこれからの性のあり方女性誌のトンデモ情報を生み出す、世間の欲望と“女子”のコントロール欲求女は閉経で刷新される? 伊藤比呂美が語る女の性と『閉経記』女子たち、「オバタリアン」から図々しく厚かましくなることを学んで!「“幸せに見えること”と“幸せであること”は別」小島慶子が説く幸福のカタチ 次の記事 マドンナに冷たい視線の米ネット民 >