“初めての男”と同窓会で再会! 答え合わせのセックスに耽る母に、悲壮感が一切ないワケ
手探りで交わった10代の頃とは違い、30代になった美佳子さんと彼のセックスは、まるで当時の答え合わせのようだったそうだ。
「ラブホテルの真っ白なシーツの上で抱き合いました。当たり前ですけど、彼とのセックスは10代の時に彼の部屋でしたものとは全然違っていて……抱かれながら、ふつふつと嫉妬心がこみ上げてきました。彼をここまで上手にした女性ってどんな人たちだろう? って。そして、彼が愛撫する合間に『布団の中に潜らなくていいの?』って言った時に、私の恋心に火が点きましたね。」
彼との逢瀬は、月に2回。彼が丸1日フリーになる日に合わせて、ピラティスの講師の予定を入れて、午前中だけレッスンをし、夕食前まで彼との時間を楽しむのだ。
「付き合い初めの頃は、すぐにラブホテルへ直行でした。でも最近では、お互いにそれほどでもなくなって……カラオケとか、映画だけで1日終えることもほとんどです。先週なんて、平日の昼間に遊園地へ行っちゃいました。アラフォーカップル2人で、バカみたいでしょう?」
そう微笑む美佳子さんの表情は、やっぱり少女のように晴れ晴れとしている。そんな彼女に、2人の関係性をあらためて聞いてみた。
「私たちの関係性を言うなら、やっぱり『婚外恋愛』だと思います。だって、婚外で恋愛してますから。主人とも、時々セックスはしますよ。でもそれはあくまでも『契約上』のセックスですから。彼もそれは理解していると思いますし、逆に言うと、今さら主人と映画やカラオケデートしたいなんて思わないですしね」
と、あっけらかんと答える美佳子さん。ここまで堂々と「恋愛」と公言するならば、「ご主人と別れて彼と結婚する」という選択肢があってもおかしくないが、美佳子さんは首を振る。
「今の生活を変えたくない、というのが一番の理由ですね。主人は1,000万円以上の収入がありますから、私もヨガ教室なんて趣味に毛が生えたことができるし、彼とデートをすることもできる。彼も今、自分の会社を大きくしようと思っている矢先ですから、仕事が第一。体の関係になると、すぐ結婚をちらつかせる女より、私のような刹那な関係の女は都合が良いんじゃないですか」
どうして美佳子さんには、婚外恋愛をする女の暗さがないのか。それは、今以上の関係をまったく求めていないからではないだろうか。彼女は、まるで高校生のカップルが、純粋にお互いを愛する気持ちと同じくらい、「好き」という気持ちの先に何も求めていないのだ。
彼との再会がきっかけとなり、結婚した今になって、青春時代の恋愛を再び楽しんでいる美佳子さん。彼女の笑顔を見ていると、夫との契約上のセックスで満足する生き方と、10代の頃のように平日の昼間に手をつないで不倫デートをする生き方、果たしてどちらが幸せなのだろうと考えこんでしまった。
(文・イラスト/いしいのりえ)