カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」7月号

朝食の支度は、濡れ髪を無造作に束ね……「VERY」のセクシーママがはらむ問題点

2014/06/25 19:00

■イラッとくる「VERY」センス

 今月の第一特集「テラスで絵になる週末ファミリースタイル」も見ていきましょう。ざっとページをめくると、“テラスで絵になる”というファッションと、詳細なお店情報をうまくリンクさせたとても実用的なページになっていたのですが、特集冒頭に非常に「VERY」らしい文章がありました。

「テラスのあるレストランが多いパリでは、素敵な客ほど目立つ席に案内されるとかされないとか……」

 つまりこの特集は、「テラス席のあるレストランってオシャレ」「家族みんなで行きたい」「そんな場所にぴったりのファッションを教えます」という単純な内容なのではなく、読者の自意識を絶妙にくすぐる作用をもたらすわけです。まるで、「やっぱり、私たちはレストランのテラス席にいると、お店にとってもメリットよね」とでも言いたげな、この高飛車で独特な「VERY」思想……少々イラっとしながらも、これがないと「VERY」を読んでいる気がしない! と思ってしまいます。

 しかし、そんな高飛車とも感じられる「VERY」っぽさを期待して読んでみると、中身はいたって良心的。丸の内、代官山、外苑前~青山、東京ミッドタウン、グランフロント大阪など、家族みんなが楽しめるルートが細かく紹介されています。「VERY」らしさで読者を惹きつけながら、しっかりと「使える」情報をまとめているのが、これまた憎いところ。「VERY」が売り上げ好調なのもうなずけます。

■「余裕」の落とし穴

 さて、そんな今の「VERY」のキーワードとはなんなのでしょうか。いまだに「お金持ち」「専業主婦」「イケダン」といったイメージを持たれがちですが、今は「余裕」がキーワードになっているのではないかと思います。全て持っているからこそ得られる「余裕」は、実際に生活しているとなくなりがち。その「余裕」をどうキープしていくかが、今の「VERY」の大きなテーマになっているのではないでしょうか。

 今月号には、「あなたにあげたい、優しくなれる服」というページがありました。これは、「汚されたり、こぼされたり、悪気がないと分かっていてもつい子どもにイラっとしてしまうことがある」ママに向けて、汚されても気にならない、もしくは笑っていられるアイテム が紹介されています。これも、いかに「余裕」を持って暮らせるかのノウハウですよね。

 しかし「VERY」に求められている「余裕」は、裏返すと「我慢」とか「忍耐」にも言い換えられるかもしれません。例えば、旦那さんとのセックスレス問題に悩んでいたとしても、「余裕」でいなければいけない、といったふうに……。次号からも、この「VERY」における「余裕」の関係性については、次号以降も見ていこうと思います。
(芹沢芳子)

最終更新:2014/06/25 19:00
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