朝食の支度は、濡れ髪を無造作に束ね……「VERY」のセクシーママがはらむ問題点
今まで「VERY」(光文社)上において、「お母ちゃん代表」と言われ、ほっこりとした可愛らしいルックスと雰囲気で人気を博していた“タキマキさん”こと滝沢眞規子さん。何かを強く主張するようなキャラクター性もなかったのですが、ここ最近、タキマキさんを中心に「VERY」を見ている自分がいます。例えば、「ママがセクシーって、ありですか?」という特集。「VERY」読者は30代という女ざかりの年代なのだから、日常生活でもっと“セクシーさ”を出していこうという内容ですが、ここで滝沢さんが大活躍。早朝、家族が起きる前にシャワーを浴び、濡れたままの髪を無造作に束ねて食事の支度するシーンや、コットンのマキシワンピースの肩紐がはらりと落ちる場面にトライ。無防備に寝ている姿を見せながら、夫との外出の場面では黒のワンピとピンヒールで辛口のセクシーも見せます。今まで“ほっこりキャラ”だったタキマキさんだからこそ、意外性があるように思えました。
ところでこの企画、ママがセクシーであろうとすることは「あり」だと思うんですが、普段から女磨きを怠っていなさそうな「VERY」ママでさえ、日常の家庭生活の中でセクシーを出す瞬間がなかなかないのかもしれません。そういった前提があるからこその企画なのでしょう。「VERY」の言うセクシーは、もちろんよその男ではなく、旦那に対してのセクシーになるのですが、特集を読んでいると、「私はこんなにセクシーなのに、価値に気づかないなんてバカね」と旦那に訴えがひしひしと伝わってきます。つまり、この企画には、「VERY」ママの抱えるセックスレス問題すら見えてくるのです。
<トピック>
◎ママがセクシーって、ありですか?
◎テラスで絵になる週末ファミリースタイル
◎あなたにあげたい、優しくなれる服
■「VERY」を体現する滝沢眞規子
「ママがセクシーって、ありですか?」で大活躍だったタキマキさんですが、「目指せ!ニッポンのお母ちゃん」という連載では一変、「出生率をあげましょう、でも働いてください、産んでも預ける所はありません……こんな現実はいつまで続いていくのでしょうか」と声を上げています。連載当初は、子どもの学校行事におけるお母さんのファッションについて言及していたりしたのですが、いつの間にか社会問題に疑問を呈するように。今やタキマキさんは、「見た目は癒やし系、中身はしっかり者」というキャラに変わりつつあるようです。
今のタキマキさんを見ていると、以前から自身のポテンシャルは高かったものの、時代の空気や、「VERY」の趣旨に合わせて、ほっこりしたお母ちゃんキャラをやっていただけだったのかも……と思ってしまいます。「VERY」が賢妻路線に歩みだし、タキマキさんも「新聞を読む」という連載を始めたことで、徐々にしっかり者のママになっていったのではないでしょうか。そう考えると、タキマキさんはまるで「VERY」の映し鏡のようでもあります。