カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「steady.」7月号

「結婚していただく」という価値観から脱せない? 「steady.」読者の苦々しい結婚観

2014/06/20 19:30

 ほかにも「次のプロジェクトが本格始動」「担当しているカフェのフロアイメージについてテツヤ先輩と入念に打ち合わせ」「お待ちかねのカフェOPEN!この瞬間が最高にうれしいね」など、“仕事に打ち込んでいる私”が全面に押し出され、ますます今までの「steady.」には見られない傾向という印象が強まります。取り扱われるファッションが、甘めから今はやりのシンプル系になってきたことに伴った変化かもしれませんが、少し前まで「周りから浮かない」をモットーにしていた「steady.」の読者が、都会派OLのライフスタイルをどう見るのか。読者だけが置いてけぼりにされているようにも感じました。

■「キッチン出入り禁止」の絶望感

 今月号の読み物ページには、リアルな体験談が満載。特に「プロポーズしない彼の取扱説明書」は、「つきあって何年もたつのに、結婚の気配がない彼氏の本音を探ろう」という恐ろしげな企画でした。

 「プロポーズしない彼」たちに座談会までさせて聞き出した本音は、「自分自身がまだしっかりしてない」「1人の時間がほしい」「いつかはするかもしれない」など、想定内のものばかりだったのですが、目を引いたのは「プロポーズ待ちの女」の体験談。

 「手料理もしたいけど、会えるかどうか当日にならないとわからない」「つきあってくれていると思うと強く出られない」という状況の中、思い切って彼氏に「結婚するかしないか半年以内に決めてほしい」とお願いしたところ「自分の人生なのに、どうして人に期限を決められないといけないんだ」とキレられ、「彼の自宅のキッチンは出入り禁止」になってしまったという、つらすぎるエピソードが……。思わず読みふけってしまいました。

 そもそも「キッチン出入り禁止」って、彼女に嫁ぶった行動をさせたくないという男の気持ちの表れですよね。そんな、彼女にとってはかなり不利な状況なのに、専門家からのアドバイスは「結婚したら今より幸せになれると思われる関係を築くのが先」とか「あなたのためになると結婚のメリットを説いてみて」とのこと。女が平身低頭、土下座でもしなければ結婚できないような状況なのか……、と思うと気分が重くなってしまいました。着回し企画では、自信アリアリな都会派OLが幅を利かせていたのに……ギャップがありすぎです。

 しかしこの結婚をめぐる生々しい体験談は、読み物としてはかなり面白い。個性や主張がないと言い続けてきた「steady.」ですが、この路線には期待大です!
(芦沢芳子)

最終更新:2014/06/20 19:30
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