サイゾーウーマンカルチャー漫画レビュー『ぽちゃまに』の努力を捨てたヒロイン像 カルチャー [連載]マンガ・日本メイ作劇場第36回 おデブ“だから”イケメンに愛される!? 『ぽちゃまに』に見る、努力を捨てたヒロイン像 2014/06/14 16:00 マンガ・日本メイ作劇場ぽちゃまに 話を戻そう。繰り返すが、紬がダイエット・食事制限をできなかった理由は、「食べることが大好きだから」。……それ、単に好きなことしかできませんでしたーってだけ。食べるのをやめられないなら、運動したら? と言わずにはいられない。 しかし、だからといって、紬は何の努力もしていないわけじゃないという。体形のことで人からいじめられたけれど、「いつも笑顔でいて、自分を好きになろう」としたらしい。でもね……その理由は、体形にあったんだよね? 「頑張って自分を好きになろうと決めました」とか言って、ただムシャムシャ食い続けて、それって努力なのだろうか。むしろ言い訳なのでは……? 一方で作中、紬に「力士から相撲を取ったらただのデブ」レベルの暴言吐いた、田上くんに片思いをする女子は、外見をめちゃくちゃ磨いてきたんだそうな。髪を毎日トリートメント、爪は3日に1度直して、メイクを研究して。好きなことだとはいえ、彼女の方がよっぽど頑張っているように思える。 ところが、外見ではなく内面を磨いてきたといわれる紬に対し、田上くんが紬を選んだ理由は「太ってるから」。紬が太ってなければ付き合わなかった、と田上くんははっきり言っているのだ。「紬の心が優しいところが好き」とも言っているけど、田上くんは「ぽちゃまに」であり、おデブな紬にしか興味がないんだったら、中身云々は付け足しだ。 紬の中身に特筆すべき魅力がないことは、脇役陣からもよくわかる。親友のまみ、田上くんの姉、風紀委員と、登場人物の女子に、やたら男言葉を使うキャラが多いのだ。周りを極端なほど引き立てないと、紬のキャラクターが浮き立たないからだ。 前のページ1234次のページ Amazon 『ぽちゃまに1(花とゆめCOMICS)』 関連記事 ウブな高校生カップルに神経が参る! 『ハツカレ』の途方もないドキドキ感の理由『Theチェリー・プロジェクト』に見る、スポ根マンガ+恋愛の限界男はもう女を救わない、少女マンガとして夢を与えることを放棄した『こころ』"少女"マンガのおける恋愛描写の見本は『好きしか知らない』に限る!変人がメイ作を作る? 『ガラスの仮面』のキャラクターを見直してみよう