コラム
[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

かつて恋愛至上主義だった女が、「恋と男」以外の燃料でキレイになるには……

2014/05/25 21:00

「ちょっと、どーゆー事それ、男を見返してやるとか、振り向かせるためにキレイになるって、なんかマズいの!?」

 アセりながら質問する私に、「だから!!」D子は真面目な顔つきで自信を持ってこう言った。

「男のためにキレイになっても、でもそういうキレイって、男のせいで簡単にブスにもなる!!」

 ……私、この時、D子のこのセリフを聞いて、思いっきり目がさめた。言われてみれば確かにそうだ。若い頃の「キレイ」は、アップダウンの差がありすぎる。波が激しすぎるというか。そう、D子の言うように、若い時の私は、男のおかげでキラッキラにキレイにもなれたが、逆に、男のせいで思いっきりドブスにもなった。私がキレイでいられるかどうかは、結局全て男次第。全部男に丸投げしてたような気がする。そんな事を思い出したらもう、友達の女はそっちのけ。D子師匠の格言に耳を奪われ、そして教えを請う私。

「D子、だったらどうすればいいの!? 男のためじゃなかったらじゃあ一体何のために!?」
「……それは……」

 バケモノ・珠緒が、女の人生の確信を突くような答えを私に突きつけてきた。

「自分!!!」

「男のためにじゃなくて、自分のためにキレイになる」

……ともすりゃ相当、自己愛強くなきゃ無理だろそんなの、と思われそうなセリフだが、しかし、中年にさしかかった今の私には、このセリフが一番身に染みたのは事実である。一体どこをめざしてキレイになったらいいのかわからない、そんな「キレイの迷いびと」と化した私には、一番ストンと腑に落ちたセリフだった。まぁ、発情期の真っ最中だったら、男に振り回されて、キレイになったりドブスになったりもアリかもしれない。でも、そんな時期を過ぎてしまったら、頭の中を「男から自分」に切り替えないと、ハッキリ言ってやってられない。ああ、頭ん中が随分と軽くラクチンになったよ、D子、これからはアンタを「心の師匠」と呼ばせてもらうわ。

 ところで。最近ちょっと、というか、いや、ちょっとどころじゃなくて相当ビックリしたニュース。

「あの、シャルロット・ゲンズブール(42歳)が、老いへの恐怖で女優引退を検討中」

 ……マジ!? ええええ!? まさにマジかよ、である。最初、ネットでこのニュースを見た時は単なる噂だろ、と思ったのだが、マリ・クレールのインタビューでそう答えてたらしいんで、どうやらガチでホントのようである。シャルロット曰く「スクリーンに映る老いた自分を見るのがつらい」「40歳になるのがずっと最大の恐怖で、40歳になったショックを今だに引きずってる」「アンチエイジングの整形は、躊躇してるけど、でもする可能性もある」……等々、「あの、シャルロットが!?」と、耳を疑うようなセリフのオンパレード。

 けだるそうにくわえタバコで、ノーブラ、Tシャツにジーンズ、どこまでいっても自然体のフランス女、ファムファタル、そんなイメージで、ずーっと私はシャルロットにあこがれてたから、このニュースを目にした時はホント、頭を一斗缶で殴られたような気分になった……ガ~~~ン。とはいえまぁ、シャルロットも「普通の女だった」という事だろうか。よく女優様がインタビューで、いけしゃあしゃあと、どいつもこいつも「シワも魅力になるような、そんな素敵な年齢の重ね方をしたいですね」などと言ってるが、ソレに比べりゃ随分とウソくさくなくて、人間的……とはいえ「40歳になったショックを今だに引きずってる」って、なんかそれって相当ヤバくないですかね?

 こうなるともう、シャルロットには是非、日本の女性誌「美ST」(光文社)あたりを読んでほしいもんである。美魔女コンテストでグランプリをとった山田佳子さん著『負けるもんか49歳の崖!』(光文社)とか、シャルロットに送りつけたい衝動にかられた私。「SUSHI」「KARAOKE」に並んで是非「BIMAJO」も、世界共通語になればいいのに、と、思ってしまった次第である。

最終更新:2019/05/21 16:23
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