ローティーンの欲望はどこにある?

「ランウェイ応募に1億円が動く」JS向けファッション誌、女子カルチャー勝因に迫る

2014/05/24 16:00

■ファッションは勉強やスポーツと同じ位置づけに

 後日、『ニコ☆プチ』『ニコ☆プチKiDS』の山元琢治編集長に話を伺った。やはり聞きたいのは、雑誌の懐具合だ。

「『ニコ☆プチKiDS』創刊は、お母さん読者と、何より広告クライアントからの要望も強くて実現することができました。創刊号は5万部刷りましたが売れ行きも好調です。今回の『ニコ☆プチガールズコレクション2014』読者モデル向けのランウェイには、定員400名のところ、全国から計9,000通の応募をいただきました」(山元編集長)

 このファッションショーの応募条件は、「1ブランド1コーデ」の購入。1コーデは1万円以上なので、読者からの応募だけで最低でも約1億円以上のお金がキッズウェア市場で動いたことになるという。『プチ☆コレ』にはキッズウェアブランド以外にも多くの起業が協賛し、会場には、キッズ向けのマスカラなどのアイテムをPRするスポンサーブースが多く並んでいた。クライアントからも関心の高さがうかがる。では、雑誌好調の理由とは?

「いまはお母さんの感覚が若くて、娘とお母さんのファッションのゴール地点が同じところにあるので、親子そろってキッズファッションに熱狂する傾向があります。みなさん、本気でやってるんですよね。自分たちでスタイリングして、メイクしてブログで発信して。そこに頑張る価値があると感じれば、徹底してお金も時間も投入するのが今の親御さん。勉強やスポーツに力を注ぐのと同じレベルに、ファッションも位置づけられていると感じます」(山元編集長)


 どんなに幼い子どもでも持っている女子の“可愛くなりたい願望”と、我が子をかわいがる親心の相乗効果で、盛り上がるキッズ市場。そこには、雑誌が中心に立ってカルチャーと消費を牽引する“理想の雑誌ビジネススタイル”が、まだしっかりと機能していた。
(取材・文=城リユア)

最終更新:2014/05/24 16:00
『ニコ☆プチ 2014年 06月号 [雑誌]』
「モテ」を徹底的に排除すれば女子カルチャーは育つ