「かわいい」「女子」ブームが本格的に終焉、美容界の向かう「強さと美しさ」の潮流
これらの商品を見ていると、昔のエナジードリンクを飲んでいたターゲット層と明らかに違う、「ライトに元気をチャージして、美しく強く生きる女性像」をターゲットにしていることがわかる。いうなれば、極限まで疲れを溜めずに「疲れる前に飲む」賢さ&スマートさをもって、この生きづらい世の中を軽やかに渡っていこう! という空気感だろうか。
景気が上向いてくると、エナジー系商材が売れるといわれているが、消費増税に負けず社会を活気づけるような女性で溢れてほしいものだ。「元気があれば何でもできる」はアントニオ猪木氏の有名なフレーズがあるが、ちょっとした元気(元気になった気分)だけでも、一日が楽しく暮らせるという女性特有のエモーショナルな特性をうまく利用した商品が、これから売り上げを伸ばしていくだろう。「呪文」「魔女」「魔法」というキーワードに象徴されているが、エナジードリンクを選ぶ基準が「タウリン」の配合量重視の男性脳と違って、女性脳は「なんだか、元気になりそう」「なんか、体に良さそう」というまさに魔法感が必要なのだ。
■ヘアケアでも「強さ」がキーワードに
・ユニリーバジャパン「CLEAR(クリア)」※2014年4月発売
「強さは美しい」というブランドコンセプトのもと、「毛髪科学」と「皮膚科学」を融合させた、革新的ヘアケアシリーズ。うるおいを守る皮脂が少なく、乾燥しがちな女性の頭皮をやさしくケアするのが特徴。ブランドの信条は「強さがなければ本当に美しくなれない」。
ヘアケア業界の製品コンセプトの流れを見てみると、「かわいい」は1つの訴求ポイントであったが、流れが変わってきているのを感じる。少し前の花王「エッセンシャル」のキャッチコピーは「カワイイはつくれる!!」と謳っていたが、最近は「うれしくなっちゃう!とぅるんとぅるんの指どおり」に変更。資生堂「TSUBAKI」は「この艶、プレミアム。この手触り、プレミアム。」そして、花王「ASIENCE」は「はじまる!アジエンス美容液シャンプー」と、使用感や効果訴求にシフトしている。今回の「CLEAR」は「毛髪科学と皮膚科学の融合」という効果訴求に加え、「かわいいからの卒業」という明確なスローガンをCMで打ち出している。日本やアジアという枠を越えて世界へ飛び出していく普遍的な強さ、美しさを現しているように感じる。
日本では「若いこと」「幼いこと」「かわいいこと」が良しとされる風潮があるが、世界では珍しい。「強く、美しくあること」は、美のグローバルスタンダートなのかもしれない。