出てくるメンツが90年代!

本人か、ものまねか? ワイクリフのMVに出てくる2パックの司法解剖ショットが話題に

2014/05/09 18:00
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2パックが神格化される度に思い出す、アナル好きという真実

 ヒップホップにレゲエとソウルを融合させた独特なサウンドで、90年代に絶大的な人気を博したフージーズのリーダーで、敏腕音楽プロデューサーとして名高いワイクリフ・ジョン。慈善活動家としても知られ、2010年1月に祖国ハイチで起こった大地震の被災者を救うためにチャリティー団体を立ち上げ、多額の被災地救援募金を収集。ハイチの大統領選に出馬すると表明もし、ファンから熱い注目を集めた。

 しかし、ハイチ大地震後、いち早く現地入りし救援活動を行っていた俳優のショーン・ペンから「現場に来たことのないヤツが何を言ってるんだ」と叩かれた上、寄付金40万ドル(約4,000万円)の着服疑惑が浮上。また条件を満たしていないことから、結局は出馬を断念した。12年には突然自伝を発売し、フージーズが解散したのは、不倫関係にあったボーカルのローリン・ヒルから「あなたの子だから」と赤ん坊の認知を迫られたからだと暴露し、世間を驚かせた。また今年3月には自己破産することが明らかになるなど、お騒がせセレブのような存在になっている。

 そんなワイクリフだが、音楽への情熱は衰えておらず、4月29日にミックステープ『April Showers』をリリースした。その中に収録された「April Showers」のミュージックビデオ(MV)がこのたび公開されたのだが、YouTubeからすぐに削除されてしまった。

 「April Showers」は暴力や銃への反対を歌った曲で、MVは「死者に扮する美女たちが横たわる解剖台の前で監察医のワイクリフが熱唱する」という内容になっている。その中に、上半身を切り開かれている解剖中の黒人男性の姿が一瞬流れるのだが、タトゥーなどから1996年9月に殺害された、ヒップホップ界のレジェンド・2パックであることがわかる。97年9月に発売されたノンフィクション本『The Killing of Tupac Shakur』に掲載されている、2パックの司法解剖写真にそっくりでもあり、かなり衝撃的なショットである。

 米ゴシップ芸能サイト「TMZ」によると、『The Killing of Tupac Shakur』の著者でジャーナリストのキャシー・スコットは、「April Showers」に登場する2パックの司法解剖写真は、自分が極秘ルートで入手し、本に掲載したものだと激怒。無断で写真を使用したとして、YouTubeに直ちにMVを削除するよう求めた。YouTubeはこの訴えを受け入れ、即を削除したが、ネット上ではすでに大きな話題になっており、大手メディアが報じる騒ぎにまで発展している。

 この騒ぎを受けて、2パックのそっくりさんとしてものまね活動をしているリチャード・ガルシアが、「TMZ」にコンタクトをとり、「MVで流れているのは自分だ」と告白。銃暴力反対に一役買うために、特殊メイクで出演したと明かした。写っているのは一瞬だが、メイクアップアーティストのオータム・マックヒューが8時間もかけて司法解剖写真そっくりに仕上げたそうで、オータムも米ゴシップサイト「Hollywood Gossip」の取材に対して、「自分が特殊メイクした。大変だった」とコメント。「April Showers」の2パックは、本物ではないと主張した。


 2パックは銃撃を受けてから6日間昏睡状態に陥り、その間、さまざまな手術や治療が行われた。そのため、キャシーの本に掲載された司法解剖写真はとても痛々しく、生々しいものになっている。「April Showers」で流れる2パックの肌はとても健康的で体つきもがっしりしており、頭部にも傷はない。ショッキングだがグロさはあまりなく、リチャードやオータムの主張を信じる向きが強い。しかしキャシーは、「こんなにリアルに作れるわけがない。私が入手した写真を無断で使用したに違いない」と主張し続けており、YouTubeには絶対にMVを公開しないように求め続けるとしている。

 2パックが死去したと報じられた時、「ヒップホップの東西抗争がヒートアップしすぎて収拾がつかなくなり、2パックは火付け役だった自分が死んだと見せかけることで終わらせることにした。実はまだ生きている」という説が流れた。一周忌にキャシーがリリースした『The Killing of Tupac Shakur』に司法解剖写真が掲載された際には、どういうルートでリークしたのか警察が調査に乗り出す騒ぎとなったため、「2パックが密かに生きている説」は打ち消されたが、その後も何度も生存説が流れる。エルヴィス・プレスリー同様、2パックは豪邸で悠々自適な暮らしをしていると本気で信じている者は少なくなく、「ニュージーランドに住んでいる」というウワサが流れたり、今年1月にも2パックに似ている男性の画像が出回り「ルーマニアで生きている!」という情報が流れたばかり。「本物のニガーが死ぬわけねぇ」と息巻くコアなファンは実に多いのだ。

 ワイクリフは、銃により命を落とした、若い世代からも人気のある2パックを登場させることにより、銃の怖さを表現しようとしたのだろう。法的トラブルが多い彼が著作権のことを考えないわけはなく、そっくりさんに特殊メイクを施し出演させたと考えるのが自然だ。

 死後20年近くがたつというのに、今なおニュースに名前が出てくる2パックの偉大さをあらためて知らされることになった今回のYouTube削除騒動。でっぷりとしたオヤジになったワイクリフにも、ぜひミュージシャンとして再ブレイクしてもらいたいものである。


最終更新:2019/04/22 20:25
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2パックのネタって、どうしてこんなに滾るのぉ~?