「極潤」CMで山下智久が体現した、“現代のヒモ男”像とは?
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎「送り出す」男を熱演
女性向けの化粧品のCMに出てる男性タレントって、ちょっとヒモっぽい要素が濃く見えがちな傾向があるが。「極潤」のオールインワンゲルのCMに出てる山下智久は、濃いなー要素が。女1人に朝支度させ、朝日を背に「行ってらっしゃい」と送り出す。もう完全にそのもの。また「オールインワン」ってのがね。化粧水、美容液、乳液、クリーム、下地等の要素がこれ1本で。お手入れする間も惜しんで働いてねってか。DV気味だったり金をギャンブルにつぎ込んだりする昔日のヒモと違い、山下が体現しているのは、女のコに楽しく働いてもらって、お互いwin‐winという、新時代のヒモか。ジゴロほど手馴れてもおらず、竿氏ってほど腹も据わってない。ただ、本能の赴くままに。ボーン・トゥ・ビー・ヒモ。軽快だなぁ。そして料理の腕前がよさそう。
◎ゼロを目指す海賊
面白いように、毎日毎日視聴率が落ちていく『バイキング』(フジテレビ系)。誰も責を負わなくていいつくりのお陰で、「どれだけ下がるのかオレたちも見てみたい」という出演陣の半笑いの奇妙なメンタリティも生まれている気が。特におぎやはぎとサンドウィッチマンは、この状況をすごくエンジョイしてる感じがする。このまま毎日徐々に下がり、数字がゼロになっていくまでやるっていうのがいいんじゃないか。ゼロになったその瞬間、お台場の社屋のあの丸い部分が、地鳴りとともに海に飛び出す。会社のお偉いさんや、携わった放送作家全員詰めて。海をさまよって次に辿り着いた浜辺で、また次のテレビ局を始める。お客さんに声を掛けられたら、1回1,000円で番組づくり。流しのテレビ局。あのクオリティだったら、流しくらいでちょうどいい。
◎説教オジサンを封殺した手腕
「STAP細胞は、ありま……っす!」か。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)の「東京オシャレ探し」のコーナーか。
会見前のドラムロール鳴りっぱなし状態から一転、終わってみれば、いちいち矛盾を指摘する気も失せるレベルの理研とのグル会見。根拠は一個も出さないけど、「だって見たんだもん」をゴリゴリうやむや。その決定の発表会ってことだ。
会見の内容には空いた口がふさがらないが、オボっさんの服とメイクと佇まいにもまた違う意味でびっくり。ある意味脱帽。
今回また彼女が丸襟系の服着てきたら、「なんだコイツ」となるところであるが。打って変わって趣味を抑えたしっとり令嬢風ワンピース。黒ではなく紺、無地ではなく細かな文様入りってとこがまた絶妙。「震えながらも毅然」という被害者モードでするすると登場し、スケープゴートというより「可哀想な寡婦」に見せて。アクセも、イヤリングなし、ネックレスは華奢パールを目立たない程度、貧相以上虚飾以下のベストチョイスといえる。
髪もちゃんと前髪がちょうどいいところでカットして整えてあるし、程よく眉が隠れる長さと量で、どんな表情になっても難を隠しやすい。サイドの髪のまとめ方も、前よりボリュームダウンさせ、毛先の巻きも抑えて、地味さと可愛さの喫水線を抉る。
メイクは、前回目立っていたつけまつげと強めのアイラインを排除。俯き加減になることを考慮し、線より面を強調、細かいパールのシャドウではかなげに。あらかじめ涙を流すことも考慮して、下まぶたはあまり盛らず。血色ツヤツヤだとアレなので、「ちょっとやつれた?」と思わせるシャドウと抑えたチーク。今回は頬にラメは入れず。あまり粉をはたくと厚化粧に見えるので、小鼻のテカリはご愛嬌。
しかし、唇だけは色味を抜くと一気にみすぼらしくなるので、長丁場も乗り越えられるしっかりしたローズ系で彩りを添えてと。艶のある仕上がりは男性目線にもアピール上等。オジサンはあれで「もういいじゃあないか。本人も反省しとるし」ってなるからな。いやいやいやいや、おみそれしました。
春はデビューの季節。オボっさんスタイルなら、どんな場所でのデビューも無難にこなせる。女性誌で特集イケるかも。このヘアメイク、プロがやったそうだけど、これから大きな会見を控えた女優から指名でひっぱりだこなんじゃないか。中山美穂あたり、予約を入れてるような気がする。誰が担当したんだろ。酒井法子の釈放会見と同じ人かも。
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。