「タレント本という名の経典」

「ブスといじめた者への究極の復讐」“整形モンスター”ヴァニラは本当に異常なのか?

2014/04/06 15:00

 「人間でない美しさに意味があるのか」「それでは男性に受け入れられないのでは」といった反論はまったく意味がない。ヴァニラは、他人の評価を必要としていない。自分だけの美意識を追求しているのだ。

 整形を繰り返すヴァニラに対し、精神面を危惧する医師もいる。『私の何がイケないの?』(TBS系/2013年4月1日放送分)に出演した際、脳科学者の中野信子は、「もとの面影をなくそうとして整形を繰り返してしまう女性は、消失願望があると考えられる。自殺を繰り返す心理と同じで、非常に危険なものだということができます。小さい時に悲しい思い、虐待などをされて脳の前頭葉の働き、発達を阻害されてしまった人に見られる傾向」と解説した。形成・美容外科医の高梨真教も、「何か精神的な問題が絡んでいる気がします。普通の人は、自分を否定しづらいから、ある程度肯定しつつ、自分のベースからどういう風にしたいかを考えるものです」と語る。

 一方のヴァニラは、本書の中でこうつづっている。
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どんなに目を大きくしても、鼻筋をとおしても、私は私。それは変わらない。
整形しても、私でなくなるわけじゃない。私として生まれた私が、美しくなる。
ベースはあくまで自分なの。
これは私が、内面に自信を持っているから言えることかもしれない。
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批判があることも知っている。面と向かって厳しいことを言う人もいる。でも、私は傷つくこともないし、自分の価値観が揺らぐこともない。(中略)
子どものころ、強がっていればいつかほんとうに強くなると信じていた。
そして私は、そうなった。
美が強さに変わり、その強さでまた美しくなる。
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 ヴァニラは、「病んでいる」「自分を傷つけている」という野次馬たちの分析を封じるように、整形手術を通して精神面でも強くなっていることを主張している。筆者が本書を読んだ率直な感想を言えば、限りなく病に近いところにいるとは思う。しかし、彼女を「病気」「モンスター」と特殊な事例として片付けることがどうしてもできない。筆者も、自分の容姿を愛することに非常に困難を感じている1人として、この生き方もまた“アリ”のような気がしてならないのだ。

『超整形美人』