「steady.」の靴大特集、可愛さより「痛くない」重要視の女性誌らしからぬ価値観
■「steady.」には“過剰さ”が足りない!
一方で、今月号の「steady.」で、筆者が「こういうのをもっと読みたい!」と感じたのは、例えば「ミニショルダー&サブバッグの2個持ちが増えています!!」。バッグの2個持ちは流行の兆しがあり、小さくてカラフルなショルダーと、大きくてシンプルな布トートの組み合わせなど、どんな組み合わせにするかを紹介するのは、まさに「かゆいところに手が届く」企画だなと感じました。
また、広告関連のページではありますが、「春は“スカート×2”あればONもOFFもステキ!」というページも、もっと掘り下げてほしいなと思いました。フェミニンなフレアスカートとカジュアルなタイト2枚だけで、どういった組み合わせができるのか? 足りないものを買い足しする時に参考になりそうな企画です。
筆者が「steady.」に感じるのは、「この企画がやりたい!」と思ったら、もっと自信を持って過剰に突き詰めたらいいのに……ということ。 例えば、上の2つの企画は、企画者自体が、「知りたい」と感じているのが、よくわかる企画だということが、ひしひしと伝わってきます。どこか「事なかれ主義」というイメージが強い「steady.」ですが、誌面には「これが面白い!」という気迫が伝わるような企画が読みたいものです。あくまでも想像の話なので、実際の現場がどうなのかわかりませんけどね。
■サブカル受け芸人の連載に思うコト
と、ここまでファッションページのことばかり書いてきましたが、連載ページについても見ていきましょう。今月号では、終了した連載、新しく始まった連載がそれぞれありました。
終了したのはバカリズムさんの「男RHYTHM」、小出恵介さんの「俺の同級生」。そして新たに、オードリーの「心の叫びを聞きましょう」という連載が始まりました。
このオードリーの連載は、「私の許せないこと」や「これがなくなればいいと思っていること」といた女子の心の叫びについて、オードリーの2人がその解決策を考えてくれるというもの。若林さんのダウナーな回答と、春日さんのアッパーな回答の対比は面白いのですが、個人的には、もっと長かったら読み応えがあるのではないかと思うのです。
若林さんは連載コラムをまとめて本を出版したことがありますし、バカリズムさんだって、『架空OL日記』(小学館)を出しています。どうせ人気者に連載を頼むのであれば、長く続けられて、それが1冊の本になるくらいの密度で作った方がよいと思ってしまいます。その方が、連載を楽しみにする読者も増えるのではないでしょうか。それに、若林さんには熱狂的なファンがいますしね。
これから始まる著名人の連載に関しては、サブカル趣味の編集担当者だけが楽しめる企画ではなく、どうせなら、著名人の芸の肥やし、経歴の1つになるようなページになってほしいと思います。
「steady.」をずっと見てきただけに、どうにか地道なリニューアルを成功させてほしい! その一心で、今月号は苦言ばっかりになってしまいました。
(芦沢芳子)