「steady.」の靴大特集、可愛さより「痛くない」重要視の女性誌らしからぬ価値観
先月号で、地味に大改造が行われていた「steady.」(宝島社)ですが、今月の大特集は、「あきらめないで!痛くない靴 絶対見つかる 最終回答」というものだそうです。なんだか、真矢みきさんの顔しか思い浮かばない、一昔前のキャッチコピーなのですが、「最終回答」という煽りまくりな文句が気になります。早速読んでみましょう。
<トピック>
◎あきらめないで!「痛くない靴」絶対見つかる 最終回答
◎ミニショルダー&サブバッグの2個持ちが増えています!!
◎オードリーの心の叫びを聞きましょう
■「いきいき」じゃないんだから!
この「あきらめないで!『痛くない靴』絶対見つかる 最終回答」は、なんと44ページの大特集です。確かにこの春はニューバランスや、コンバースなどの定番スニーカーの新作に、スリッポンやレースアップなどのはやり物など、注目すべき靴はたくさんあります。44ページもあるので、カタログとしての楽しみ方ができる構成になっているのではと思ったら、どうやら本気で「足が痛くならない靴」を考える企画だったよう。「靴のマエストロ」のもと、自分の足を知るチャート診断アリ、痛くない靴リストアリの内容になっていました。
履いていて痛くなる靴を買うのは嫌だけれど、女性ファッション誌でデザインより機能性が優先されるのは、不自然な感じがします。「steady.」読者は、そこまで外回りの仕事ばかりをやっているのか? 毎日そんなに歩き回っているのか? と疑問さえ湧いてきます。
もちろん「フラットシューズと合わせたコーディネート」を紹介するなど、女性ファッション誌らしいページがあることはありますが、そのほかは「憧れブランドの名品シューズ」など大味なページが多く、44ページの大特集がスカスカな印象になっていました。実際に痛くない靴がほしい人には役立つと思いますが、これって第3特集あたりで、16ページくらいに凝縮してもまったく問題ないのでは。
女性ファッション誌を買う動機は、やはり「洋服を見たい」というのが一番でしょう。しかし、今の「steady.」は、女性ファッション誌にしては、ページ数が多い方ではないにもかかわらず、ファッションページのほかに、メイク、読み物、カルチャー、料理、インテリアのページまであるのです。1冊でたくさんのジャンルの情報を得られるのはいいことですが、雑誌全体が散漫になる可能性もあります。
そんなことを感じていたところでの、靴にフューチャーした大特集でしたが、ただページ数だけが多いという印象に。多ジャンルを扱う雑誌だからこそ、読者が今「これを読みたい!」と思うテーマを、一つひとつ“密度”を上げて丁寧に特集するしかないと思うのですが、今の「steady.」は逆方向を向かっているような気がしてしまうのです。