ママ友間で「浮かない」能力を身につけるため? 「I LOVE mama」がナチュラル志向に
といった、実体のない空気みたいな内容が、スッカスカに書かれているのです。6ページも使って! これまでの「I LOVE mama」なら、「ちびコとペットの24時間に密着しました!」とか「かわいいペットグッズ100選!」とか「ペットのおやつをラブモが試食!」てな、ガツンと重量感のあるソリッドなもので容赦なく読者の頭を打ちつけてきたはず。どうしてこんなにゆるふわしているのか。空気、抜いて! ラインストーンを埋めこんで!!
■ギャルは地味にしてもやっぱりギャル
誌面の余白を美を鑑賞するということは、文字や写真による情報ではなく、まとっている空気を感じ取って楽しむということです。それはもしかしたら「空気を読む」ということに通じていると言えるかもしれません。このような誌面デザインに変えたということは、読者に空気を読むことの大切さを暗に伝えているのかも……。なんて過剰ともいえる反応をしてしまったのは、「入園準備はすすんでる?」というページがあったからです。
前々から、「I LOVE mama」では幼稚園や保育園で「浮かない」ファッションを気にかけてきました。今月号では入園直前、最終チェック段階です。「フォーマルな黒のスーツならまずは安心」「カチューシャやリボンなどの子どもっぽいものはもちろん、ヘアアクセ自体あまり好まれません」「靴下、柄ありタイツは、自分は可愛いおしゃれができて満足でも、周囲はドン引きかも……」「コンサバ寄りのナチュラルメイクで派手過ぎないを意識して」と注意事項が細かく書いてあるのですが、よい例として掲載されている写真を贔屓目で見ても、キャバ嬢の法事にしか見えません。髪の毛は金髪で姫系、そしてつけま。大人だったらパッと見てすぐに「まずソコをどうにかしないと!」と気付くはずなんですが、潔いくらいにスルーされています。ソコは「空気読んで察しろよ」ということなのか、それとも「ギャルの急所だから死守しろ!」ということなのか。
ママ友の間で浮くか浮かないかという問題は、大変難易度の高い問題です。常日頃から空気を読む修行を積んできた「VERY」や「STORY」(ともに光文社)の読者でさえ、敏感になるテーマです。「スーツを黒にする」といった言葉では語られない“なにか”を感じ取る能力がないとできません。ママ友付き合いにおいてだけでなく、飛行機で「子どもが泣かせるな!」とオバサンにキーキー叫ばれないためにも、新幹線で「子どもに睡眠薬を飲ませれば?」とオジサンに冷笑されないためにも、TwitterやFacebookで「DQN親」と嘲笑されたり「発言小町」のやり玉にあがらないためにも、いろんな場面で“なにか”を感じ取る力は子育てに必要です。これまで情報を詰め込むことで読者を啓蒙してきた「I LOVE mama」ですが、ここで獅子が我が子を千尋の谷に落とすように突き放し、感じる力を自ら鍛えよ、と訴えています。厳しい子育て環境を乗り越えられるように……。ってまあ、9割方筆者の考えすぎとは思いますが。とにかく「I LOVE mama」、新たな幕開けです。
(亀井百合子)