共感と非難が交わる心地よさを共有し合う、毒舌タレントと「婦人公論」読者
前号では「女が嫌いな女=婦人公論読者そのもの」という、まさかのブーメランを発動させた「婦人公論」。フォローするわけではありませんが、「女が嫌いな女」とされる女こそが人間らしい女。仏のように微笑み慈愛に満ちて謙虚で人の悪口なんて言ってるのを聞いたことない……なんて神様みたいな女、どこかにはいるかもしれませんが、あまり友達にはなりたくない。
そして本当の「婦人公論」読者はおそらく性格が曲がっているわけでもなんでもなく、どちらかといえば生真面目で社会規範を重んじるタイプ。周囲との軋轢を生まないように気を使いながら生活する女性です。というわけで、今号の特集は「気持ちを上手に伝える人になる」。リードには「思いを言葉に変えることは、願いを叶えるための第一歩。(略)ちょっと意識してみることで、コミュニケーションはぐっと楽しくなり、人生は幸せに満ちたものに変わるはずです」とあります。「婦人公論」がこうしたぼんやりした言い方をする時は、決まって裏テーマが存在する時……姉さん、今号も事件の匂いがします!
<トピックス>
◎特集 気持ちを上手に伝える人になる
◎太田光代×西川史子 別宅を持つ夫なんていらない
◎林葉直子 私はなぜ46歳で「遺言」を書いたのか
■欲しいのはアドバイスではなくジャッジ
特集「気持ちを上手に伝える人になる」、まずは哲学者・鷲田清一氏がコミュニケーションのコツを語ります。いわく、気持ちは「『伝えよう』と思った時点で力が入ってしまい、むしろ伝わらない」とのこと。「相手の気持ちをわからなくてはいけないとか、ちゃんと伝わるだろうかなどと考えていたら、ますます不自由になる。別にどう思われてもいい、誤解されてもいい」――このくだりこそ、本特集のキモとなる部分です。
それを証明しているのが、この後に続くインタビューや対談の面子。“別にどう思われてもいい”の権化、デヴィ夫人をはじめ、大竹まこと×坂上忍の「正面切って話せないなら、陰口をでっかい声で言え!」、特集外ですが太田光代×西川史子の対談、林葉直子のインタビューなどなど、時に世間に唾しながらも芸能界を生き延びてきた猛者たちが勢揃いしています。
「気持ちを上手に伝える人になる」というのは、「嫌なことは嫌だと言える人になる」ということ。「婦人公論」がしばし「人間関係の断捨離」を推奨するのも、この世代がさまざまなしがらみに縛られ、断りづらい人が多いからではないでしょうか。そこでこんな企画「困ったときの上手な断り方」。日常の中で出会う「断りにくい状況」をどう切り抜けるか、『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)の著者・佐々木圭一氏と、「人生相談の達人」吉永みち子氏がアドバイスしています。