毎号啓蒙する「CLASSY.」と、受け入れない読者のカジュアル戦争はいつまで続く?
ニット帽をかわいくかぶる女になるために、恐る恐るカジュアルファッションに挑む侍たち。だけど、どうしたらいいかさっぱりわからない。今さらこわいユニバレ(ユニクロ商品を着ているとバレること)、スウェットパンツが完全に部屋着になっちゃう、ZARAに無理がある、アメカジというよりお母さん……。長くコンサバに身を置いていたからこその切実な悩みや疑問にズバッと答えるのが、今号の特集なのです。「ZARAは黒、GAPはカジュアルパンツ、PLSTはスウェットアイテムでUNIQLOは定番アイテム」と清少納言「枕草子」のごとく、着こなしポイントをレクチャー。さらにこれらのブランドだけで人気セレブ、オリビア・パレルモになっちゃうよという力技ページや、最も恐ろしい“かぶり”を防ぐための提案「掘り出し物は『ZARAキッズ』と『GAPメンズ』にある」など、実用的かつ遊び心のある企画が盛りだくさんです。端境期だから遊んじゃう~という表の顔に隠された、切実なカジュアル不器用問題。もはや「こなれ」などという薄ぼんやりとしたワードではどうにもならないようです。
■巻き髪をやめたら、そこで試合終了なんです
このように、ここ最近の「CLASSY.」は、あの手この手で読者にカジュアルを啓蒙しております。しかし今号の特集にしても、前方から風を受けたようなヘアスタイルの、いわゆるイイ女系が多い「CLASSY.」モデルが着てこそサマになると申しますか、実際これを一般読者が着たらどうなってしまうのか、一抹の不安がよぎります。というのも、どんなに「CLASSY.」がカジュアルをススメても、読者たちになかなかというかまったくというか、浸透していないのです。「『それどこの?』って聞かれる達人読者の着こなしガイド」には、4大ブランドを上手に活用した読者たちが登場していますが……これがまぁ固い。ちゃんとしすぎ。前から受けた風をはね返す鉄壁の形状記憶内巻きワンカールで、GAPのジーンズを履き、UNIQLOのニットを肩からかけています。ああ一ミリもこなれてない!!
それでもあきらめず、読者への手取り足取りカジュアルレッスンは続きます。「部屋着に間違われない正しい着こなし教えます 大注目アイテム!『スウェット』を極める」では「スウェットのワンピはチェックシャツを腰巻きして、足元はコンバースで」と重ねてアドバイス。「見た目も意味もオシャレなLOGO TOPSが欲しい」は、ロゴの翻訳までしてカジュアルトップスをオススメしています。「若いブランドにありがちなちょっとファンキーすぎる内容のロゴ」として紹介されていたのは「HOT BOY(イケメンはどこ?)」「GET YOUR HAND OFF ME!!(私に手を触れないで!)」など。イケてるロゴとしてオススメされていた「PLEASE PLEASE PLEASE LET ME GET WHAT I WANT(お願い!私が欲しいものをちょうだい!)」との違いがイマイチよくわからないのですが……。
そして、去年1年間で3回は見たこの企画「いま、ヘアは巻きすぎない方が可愛い!」。「私たち巻かないと不安です」という3人の読者がプロのアドバイスに沿って「巻すぎないヘア」にチャレンジ。分け目くしゃくしゃでちょいボサボサの“風が吹いている”ヘアにしてもらい、にっこりと微笑んでいらっしゃいますが……。筆者は知っています。この子たち、明日になれば何事もなかったかのように、またグリグリ巻きすぎますから~! 残念!!
と、思わず心のギター侍まで出てきてしまった今号の「CLASSY.」。読者に辛抱強く「髪は巻いても巻きすぎるな」と説く「CLASSY.」と、いまだコンサバのマインドコントロールが解けない読者との壮絶な果たし合いは、いつまで続くのでしょうか。「CLASSY.」の汚れなきモテたい魂はどこへ向かう……? なんと来月は、この流れを一変「カジュアル全盛期こそ『楽してキレイ』を目指す!」。“上品さ、女らしさ、リッチさは忘れません!”とのことです。え~マジですかっ!? またもや豪快にちゃぶ台ひっくり返しそうな「CLASSY.」から、来月も目が離せません。
(西澤千央)