映画『パリ、ただよう花』レビュー

『パリ、ただよう花』が問う「労働者とのセックスに溺れるインテリ女は愚かか?」

2013/12/28 16:00
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『パリ、ただよう花』ロウ・イエ監督 2013年

 手っ取り早く、誰かとつながる手段として一番有効なのが、セックスだ。互いに素っ裸になり、欲望や思いをありのままにぶつけ合い、わがままに愛し、愛される行為。その過程には相手の生い立ちや背景などは必要ない。ただ、今目の前の男がほしいのか、否かだけだ。

 しかし簡単につながれるセックスも、つながり“続けること”は決して容易ではない。そのことに気付かず、目先の快楽に溺れて体を貪り続けることは、互いの首を真綿で絞めることとなる。

 渋谷アップリンク、新宿K’sシネマで公開中の映画『パリ、ただよう花』は、パリにやってきた美しい中国人教師のホア(花)と、建設工のフランス人・マチューとの、激しくもはかない恋物語だ。

 北京で出会った恋人を追ってパリへ留学にやってきたものの、恋人に振られてしまい傷心していたホア。そんな中、マルシェを解体していたマチューと出会う。マチューからの強引なアプローチを受け、ホアは戸惑いながらも彼とのセックスに溺れるようになる。

 ただ快楽だけを貪る、先の見えない関係性に身を任せ、2人は情熱的に愛し合う。しかし、2人の間には徐々に亀裂が走り始める。ある日、ホアはマチューの仕事仲間にレイプされる。ホアがすぐほかの男と寝るのかを確かめようと、マチューが仕事仲間に賭けを持ちかけたという。しかし、その事実を知ったにもかかわらず、ホアはマチューを捨てきれず、再び肌を重ねてしまうのだ。


 ある日、ホアはマチューからプロポーズされる。しかし、「働きたい」という強い意志を持ち、結婚を受け入れないホアに、建設工のマチューは一切の理解を示さない。教師でありながら、現在もパリの大学に通うホアと、肉体労働者であるマチューの身分の違いは、徐々に2人を追い詰める。マチューは「インテリはみんなろくでなしだ」と口にし、ホアの留学生仲間はマチューをバカにする。

 そんな2人の間に生じる絶対的な格差は、衝動的なセックスだけでは埋めることができなかった。

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