【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

アラサー“王子”とセックスした四十路の母ちゃんが語る、「不倫」が意味するもの

2013/12/22 19:00
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(C)いしいのりえ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。

 私からしてみれば、どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃない? と思ってしまう。そこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

■「今年何回セックスした?」と聞かれて

「婚外恋愛中の女性は、なぜ“不倫”という言葉を使わないんでしょう」

 今回お話を聞いた里歌さん(仮名)は40代前半の三児の母。彼女は朗らかに笑いながらこう答えた。


「私とのことを“不倫”なんて言ったら彼に失礼です! 彼からは、私にとって一生の宝物をいただいたんです。彼に“不倫履歴”なんて忌まわしい過去を付けたくありませんよ」

 びっくりした。相手を守るために「不倫ではない」としたこともそうだが、彼女が何のてらいもなく「不倫」という言葉を使ったから。“婚外恋愛”中の女性は、「不倫」と口にするだけでも抵抗を示すものなのだ。

 ふっくらとした頬の左にえくぼをへこませて里歌さんは笑顔を見せた。二十歳前後の時にバイト先で知り合ったというご主人は、里歌さんとできちゃった婚をしてから、一気奮闘し、フリーター生活から脱出。20年経った今では、IT企業に勤める営業部長だという。里歌さんはその後、立て続けに2人の年子を産んだ。

「私も頑張りました。とにかく、子どもたちに貧しい思いをさせたくなかったんです。2人目の子が産まれてすぐは、主人も現在の会社に就職した直後でしたし、家計も苦しかった。かと言って、私も外に働きに行ける環境じゃありませんでしたから……赤ん坊2人が寝静まるのを見届けて、2ショットチャットのバイトをしました」

 苦労をした人は、少なからず表情やしぐさに疲れを感じるものだが、彼女はそんな悲壮感とは無縁だなと思った。家庭のために働くことが、彼女にとっては苦でなかったのだろう。里歌さんは、子どもたちの成長がなによりの幸せという、“お母ちゃん”そのものなのだ。


 その後、3人目の子どもを産み、夫を支え、家族と共に突っ走って来た里歌さんに転機が訪れたのは、一番下の長女が成人式を迎えようとする時期のことだった。

 里歌さんが経理事務として3年間ほど働いている、従業員ほんの10数人の地方都市にある代理店に、アラサーの男性社員が入社した。

「彼が入社した時は、誰もが目を輝かせました! こんなに綺麗な男の子が、 まだこんな田舎に居座っているんだって」

『よりぬき毎日かあさん』