『有頂天家族』で話題、京都・六道珍皇寺で味わった“犯罪者気分”の理由
京都は、世界屈指の観光地。そして女の憧れの地である。美味いもん食って、寺社を見て、お洒落して、勉強する。何でもかんでも「京都でする」のが女の憧れなのだ。女性誌はこぞって京都特集を組み、ガイド本や京都観光エッセイがボロボロ出版されている。確かに京都には歴史がある。名産品がある。美味がある……そして誰も取り上げないけれど「しょっぱい京都」もある。
しかし京都のほんとうの魅力は、こういうソルティーなところにあるのだ。上品ぶっている女性誌では取り上げないほんとうの京都の姿を、しっかり焼き付けて欲しい。そうだソルティー京都、行こう。
【第16回 六道珍皇寺】
すごくわかりやすい形の「いい人」って、実は大していい人ではないものだ。自分より恵まれない人を見つけては「かわいそう~」とか「ひどーい」とか、大きな声でアピールしつつも、別にそれ以上のことは何もしない。もういい人アピールは終わったから。一方で、口が悪くて一見冷酷に見える人が、実はものすごく情に厚いなんてのはよくある話。人に厳しいことを言うのは愛情があるからだし、自分の発言に責任を持っているから、発言以上のことはやるものだ。でも人からは誤解をされやすいので、損な性格でもある。
京都にもある。そんな不器用な寺が。実際に中に入ってみるまで、「なんて不親切な寺なのだろう」と思っていたものだ。いや、不親切というか、なんともサービス精神が謎というか……。それは、六道珍皇寺という、小さな寺だ。
もともとこの寺は平安時代、小野篁がここの井戸を使って冥界のえんま様に会いに行っていたとかいう伝説がある。当時このあたりは鳥辺野と言って、市民の遺体を風葬した場所だったそうだ。化野、鳥辺野、紫野といった、「××野」の名前の地は風葬地を指すそうで。今でもこのお寺は、お盆にご先祖様の霊を迎えに行くところであり、夏に活況になる場所だ。どおりで秋冬に行ってもいつも誰もいないわけね。お寺にも旬とかオフシーズンとかがあるようです。
今、この寺は『有頂天家族』(森見登美彦、幻冬舎)の登場人物、矢二郎兄さんがここの井戸に住み着いていたことで注目されている。「ソルティー」で取り上げようと思っているうちにそんなことになっているとは、うかうかできないなあ。
さて、ソルティー観光地の特徴は、何でもかんでもいらないことまで説明してくれる「しゃべりすぎ」か、なぜこの展示物がここにあるのか説明がまったくない謎の「しゃべらなすぎ」のどちらかだった 。この六道珍皇寺はというと、「割とよくしゃべる方だけど、来た者が犯罪者気分になれる寺」である。
(左)これが本堂。(右)……これは?(左)ここは閻魔堂。(右)……これは?(左)これは鐘楼。(右)にょろり。
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