幸せな主婦像から脱却した「VERY」、わかったふうな顔の裏に潜む「複雑な牽制合戦」
「VERY」(光文社)はここ5年10年、中身も読者の年齢層もどんどん変化しています。しかし周囲の男性(特にアラフォー以上)からは、「『VERY』に出てるようなコンサバな女性好きなんだよね!」なんてことを言われることも。そう言われるたびに筆者は、「いや、いまどき『VERY』に白シャツにタイトスカートみたいなコンサバはいないし、想像してるのと全然違うと思うよ……」とモヤモヤしています。
ファッションページを見ても、カジュアル派の筆者にも参考になるアイテムが多いし、以前ほど「『VERY』妻って、なんかとっつきにくいなあ……』という印象もなくなりました。
ただ、明らかに足りなくなったものといえば、「私はアナタより女として上なのよ」という威圧感。もちろん、まったくなくなったわけではありませんが、うまいことトゲがなくなり、まろやかになった感じ。いや、「VERY」の目指す理想の女像が、より複雑になったという方が正しいのかもしれません。
<トピック>
◎普通っぽいのにオシャレに見える人の着こなしテクニック
◎私たちがいま読みたい本とマンガ
◎冬は外面美人でいいんです!
■大切なのは“誤差レベル”のオシャレ?
先述の「複雑になったと」という点は、第一特集の「普通っぽいのにオシャレに見える人の着こなしテクニック」にも垣間見えます。
これが昔のファッション特集だったら、もっと「私はアナタとは違うのよ!」という特別感が全面に出ていたと思うのです。けれど今では、浮いたり目立ったりはしないけれど、横並びに見えるママ友コミュニティの中で、「でもこの人はちょっと違う。オシャレをわかってる」と、誤差レベルのオシャレを感じさせるような、細やかな特別感を感じさせる内容になっています。
この微細なオシャレとは、「クルーネック(首つまり)のニットが流行っているから、ボリュームのあるネックレスを取り入れる」とか、「若い世代で流行っているニット帽を『VERY』らしく取り入れる」といったもの。微細すぎて、男性にはさっぱりその特別感がわからないでしょうし、以前のように「『VERY』は、コンサバだけどちょっと色っぽい」と、男性にファンタジーを抱かせることも少なくなっています。