美容業界の怪しい匂い充満、「メスを使わない脂肪ケア」で見たもの
そして、できた写真をまじまじ見せられる。「こ、これは、誰? この肉の塊はなんだ!?」とガクゼンとしていると、「では横になってください。まずは体を温めます」と、光線+ヒートマットに 30分。なんでも太陽と同じ人工の光で体温を上げて、代謝や排泄などの体機能に働きかけるのだとか。やわらかい光の中でウトウトと眠気が催す。ちなみに、ここで使われる光線は、知る人ゾ知る「可視総合光線療法」でも使われているものだという。この光線は皮膚内に存在するコレステロールをビタミンDに変換したり、深部温熱を上げて、血行改善にも役立ち、生体リズム調整や鎮痛、さらにはコレステロール低下などにも効くという。とにもかくにも体にいい光線……。各種の治療院などでも、すでに使われているものらしい。
光線タイムが終了すると、いよいよメスを使わない脂肪ケアに突入する。なんでも人間の約30倍ものパワーがある機械を駆使し、ローリングと吸引で脂肪&セルライトを徹底攻撃するらしい。マッチ棒姐さんが「セルライトがついているところは痛いですよ」と恐ろしいことを言う。確かに、背中に吸い付き、転がるローラーはグッグッと押されるというか、小人に思いっきり踏まれるような感触というか……マジ痛いっス! ローラーは、背中、お尻、おなかへと順々に進んでいくが、もう痛くて痛くてたまらない。
痛みを和らげるため、施術をするマッチ棒姐さんに、「細いわねぇ~」と話を振ってみた。すると、「そうですか? 実は11号だったんです。このマシーンで痩せて、今は7号です」。さらに「維持するの大変でしょう」と質問すると「いえいえ~、一度土台を作ってしまうと、維持はそんなに大変じゃないんですよ」と、ニッコリ。マッチ棒みたいだが、たくましい営業根性である。
まったく気が抜けない施術が終了。「お疲れさまでした。終了です。それでは、もう一度撮影しますね」と、アフター写真の撮影を行った。果たして、写真の中の筆者は美しいプロポーションに生まれ変わったのかというと……もちろん、現実はそんなに甘くない。そこに映っていたのは、やっぱり肉の塊。しかし、そんな無変化な筆者の写真を見ながらも、マッチ棒姐さんは「14回ぐらい通われると、6回目ぐらいから効果が見えてきますから。ローンでも大丈夫ですよ」と、またもやニッコリ。おい、おい、ローンといっても23万円でしょ! ポ~ンと出せるのはセレブさましかいないじゃないかと、筆者は心の中で毒づきながらお店を後にした。その入れ替わりに、50歳を少し回ったぐらいのマダムが来店をしていたようだ。そんな年になっても……と思わずにはいられないが、やはり女はいくつになっても、脂肪が気になるモノなのだろうか。
クーポン満足度評価/★★☆☆☆(2)
リピーター思案評価/★★★☆☆(3)
※そりゃ、金があれば……やりたい!
吉原杏(よしわら・あんず)
大阪生まれ、大阪育ち。好きなモノは小銭。好きな場所はリサイクルショップに100円均一。美容・健康オタクとしてプチ整形、数々のダイエット法に挑戦したことも。数々の携帯小説家、『株一年生~ゼロからわかる株の教科書~』(オープンアップス)などのアプリ作家として活動。