気の毒すぎる福井県鯖江市の「めがねアニメ」、なんとかしてあげてほしい!
今回ツッコませていただくのは、10月より放送されている深夜アニメ『メガネブ!』(TOKYO MX)10月27日放送分。
何とはなしにテレビをつけていたら、偶然見てしまったアニメだが、5分もたたないうちに確信してしまった。ある意味、今年ナンバーワンアニメだということを。
とある男子工業高校に存在するという「メガネブ」が舞台で、全員が「メガネをただ視力矯正アイテム、またモテアイテムとしてではなく」、メガネをかけている設定らしい。部員たちは「スケスケメガネ」開発に日々いそしんでいるというのだが、「おバカアニメ」でもなければ、「萌えアニメ」でもない。てっきり数年前にはやった「メガネ男子」的なものなのかと思ったが、ただメガネをかけているだけ。それだけなのだ。
最初はメガネ屋さん一社提供のタイアップアニメというか、単なる宣伝番組だと思った。昼の主婦向けワイドショーなどの番組内に入る洗剤とか化粧品などのCMみたいなイメージだ。また、できればそうであってほしかった。でも、入るCMはCDリリースのネタばかりで、調べてみたら、悲しい事実が発覚した。スポンサーは、なんとメガネ屋さんではなく、「めがねのまち」福井県鯖江市だった。市長が先行上映会で対談までしている(涙)。しかも、すでに4話まで放送されてしまっているらしい(10月29日現在)。なんとかしてあげてほしい。
今はアニメというと、再放送で『魔法少女まどか☆マギカ』(毎日放送ほか)とか『ガールズ&パンツァー』(TOKYO MXほか)、夏には『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)などがあり、現在放送中のものでも『キルラキル』(TBS系)、『弱虫ペダル』(テレビ東京系)など、いずれもかなりクオリティの高いものばかり。だから、低クオリティアニメなんて今どき存在しないのだと思い込んでいただけに、この『メガネブ!』やLINEのアニメ(テレビ東京系『LINE TOWN』)などは、むしろ新鮮かもしれない。
それにしても、気の毒なのは、鯖江市だ。『ガールズ&パンツァー』の大洗町とか、『あの花~』の秩父とか、アニメファンの聖地巡礼などで賑わうことを期待したに違いないのに、『メガネブ!』を見て鯖江市に行こうと考える人がいるとは、到底思えない。おそらく企画書を通す段階では「『メガネ男子』とか、『メガネ萌え』とかありますから」といったプレゼンだったのだろうけれど、女性の場合はどうしてもストーリー性やバックグラウンド、関係性などを求めてしまうだけに、一筋縄ではいかない。単に「猫耳をつけていたらOK」とか、「メイド服を着ていたらOK」なんて具合に「属性」のみで惹かれるわけではないので、仕掛けにも作り込みが必要なのだと思う。
では、どうしたら良いのか。例えば、後編の展開では、男はサエない主人公のみにし、ほかのキャラをすべて「メガネの女の子」にしてみてはどうだろうか。グラマー系メガネ女教師や学級委員系、ツンデレ系、おとなしい系、童顔巨乳系など、全員「メガネっこ」にして、男性視聴者を狙ってみては? で、当然ながら、主人公は地味でサエない男なのに、ありとあらゆるメガネ女子にモテまくるわけだ。
とまあ、誰でも思いつきそうな素人アイディアを述べてみたが、なんとか鯖江市の期待に応えてほしい。余計なお世話ながら、『メガネブ!』の健闘を心から祈ってしまうばかりだ。
(田幸和歌子)