「完璧な家庭づくり」からドロップアウト、あの「VERY」が離婚を考えだした!
■完璧な家庭なんてないことに気づいた「VERY」
今月号の読み物ページでは「“サッカーも野球もしたくない男の子”の育て方」も目を引きました。この記事は、「男の子だから、泥んこになりながら外で遊んで、サッカーや野球に熱中するんだろうな」なんてイメージを抱いていたら、それらにまったく興味をしめさず戸惑っている……そんな男の子のママ向けの企画です。
面白いのは、「サッカーや野球をしない男の子を持つ親の悩み」について、高校2年生の体操選手が「サッカーや野球をしない男の子」として回答しているところ。彼がサッカーや野球をしなかったのは、「人と比べられて競い合うことがあまり好きではない」からで、悩みの回答には「マイペースで頑張れることを選んでみては?」となぜか子どもに向けて的確なアドバイスをしています。
「VERY」はもともと、読者に「誰もがうらやむ完璧な家庭を築くことの重要性」を説き、さらに「あなたはそれを築けているんですよ」という幻想を見させてあげる雑誌でした。しかし最近では、読者に夢を見させるよりも、夫の転職問題や、セックスレス・トークレス問題を深く掘り下げ、「自分たちの前に立ちはだかる現実から目を背けないで、一緒に解決していこう」と訴えているような気がします。
今回の「“サッカーも野球もしたくない男の子”の育て方」にしても、子育てをしていて、「あれ? 思っていたのと様子が違うんだけど」と悩む読者に向けたリアルな企画です。雑誌というものが、読者に憧れを見せるものから、リアルな共感を得てもらうものに変わっているのが見てとれます。
今月号から、3本の特集をピックアップしてみましたが、「VERY」が今まさに転換期にいることをひしひしと感じました。いまだに、「『VERY』の読者層は専業主婦」「仕事をしていても、夫に迷惑をかけない、自尊心を満たす程度」なんて思っている人は多いと思いますが、それはもう過去の話。夫への依存度も、以前よりも確実に低くなっています。
世間では、若者が保守化の一途をたどり、「女性は家庭を守るもの」という考えが復活していると言われています。ですが、それはまだ結婚に憧れる20代の考え方。今後「VERY」では、結婚生活のど真ん中にいる30代女性に向けた、憧れではすまされない、現実的な企画がさらに増えてくるのではないでしょうか。
(芦沢芳子)