コラム
今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

「しょせん凡人に理解されない」松本人志の矜持が示す、「有終の美」とは?

2013/09/13 16:30
「逆にいい」は凡人には通用しません

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎『ごっつ』よもう一度
 50歳の誕生日を迎え「有終の美を飾る準備を始める」と宣言したダウンタウン・松ちゃん。遅いよ。「これからは今まで以上にこだわって仕事をしていこう」とも。今まではこだわった仕事をしてなかったってことか。ま、それはうすうすわかっていたことなんですけれども。「僕がこだわると周囲は大変だろうけど」ってうーん。『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)の頃のこだわりには、誰もが一目置いていたが。今の松ちゃんはなぁ。シンプルに「面白くない」と言っても聞く耳持たないし。逆に「俺のこだわりはしょせん凡人には理解されない」って恍惚入っちゃうから。

 今回も、出品した映画が、トロント映画祭で最下位だったらしいが。逆に「最高得点」より本人喜んじゃうんじゃないか。シンプルに「面白くない」って松ちゃん(及びダウンタウン)に言える人間が、業界にはどこにもいない。芸人はもちろん、一緒に仕事してるテレビマンとか、多分、年代的に松ちゃんが輝いていた往年の頃の信奉者なんだろうな。

 あー、こうなると、「今」の松ちゃんが考える「有終の美」がコワい。何か変なモンごちゃごちゃ作って台無しにしそう。でまた、グダグダ言ってスパッと辞めなそう。もうあんまり余計なこと考えず、「『ごっつええ感じ』コント全集・全38巻」で隠居でいいと思うのだが。全38巻、みんな買うから。お願い出して。「50歳で引退とか言ってた先輩いっぱいいたけど、本当にスパッと辞めたの、上岡龍太郎さんだけ」という、『有吉の夏休み密着100時間』(フジテレビ系)でのカンニング竹山の発言をもって、松ちゃんへの答辞としたい。

◎「おもてなし」から始まる物語
 お手手のしわとしわを合わせたら、次に来るのは「なーむー」というのが、長いこと我々日本人のコンセンサスであったが。これからは「おもてなし」か。しかし、滝クリのあの「お・も・て・な・し(はぁと)」って、今でこそ勝てば官軍だが、もし開催地が東京に決まらなかったら、戦犯扱い必至の諸刃の剣であるな。

 ま、勝ったので今や招致の女神。ありがたや、ありがたや。でも、この秋にも結婚てのはちょっと意外だ。世界中の富豪の目にふれて、まさにこれからって時に、あんな徒食の二股ちょびヒゲ? もっともっとバージョンアップできるでしょうに。中東の石油王とか、南アフリカのダイヤモンド王とか、インドのIT長者とか。よくわからんがとにかく何かスゴい富豪の目にとまって、第二のデヴィ夫人レベルの、壮大な五輪ウルトラわらしべシンデレラ物語を紡いでほしかったのに。あの「お・も・て・な・し(はぁと)」には、それを予感させる何かが確かにあったのに。

 って、人の幸せを残念がるのも失礼な話か。おめでとさん。 

◎みの一族はまるで……
 みのもんた次男逮捕。と聞いて、てっきりクスリ系か女性乱暴系かと思ったら。路上で酔いつぶれてた人の財布からカードを抜いて現金を……。本格派か。いやー、世にドラ息子っていっぱいいるけど、道の踏み外し方が新しいな。目からウロコ。セクハラに談合に窃盗に。ここん家はゴッドファーザーか。あんなカッコ良くないけど。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。

最終更新:2019/05/22 16:36
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