母娘の絶縁、宿命の物語をつづる週刊誌を越える、宇多田ヒカルのコメント文
藤圭子の衝撃ゆえか、今週は2位も3位も“親子”ものである。発売日の事情で藤圭子自殺に間に合わなかった先週売りの「セブン」であるが、奇しくも「2大親子憎悪スク―プ」なる企画を掲載している。ナイス(!?)。
まずは親に翻弄された子どもたちの物語だ。母親は歌手の岩崎宏美。岩崎は88年に結婚し、エリート商社マンとの間に2人の息子を儲けたが、7年後に離婚。子どもの養育権は岩崎が持ったが、離婚翌年には親権を持つ父親が再婚し、2人の息子をなぜか新妻と養子縁組してしまう。裁判を考えた岩崎だが、前夫は裁判するならその間子どもに会わせないと主張。完全な嫌がらせだ。しかも、2人の息子を連れてメキシコへ転勤してしまった。だが最近になり息子2人が成人し、一人暮らしをするようになった。父親の呪縛から逃れたのだ。すると、息子たちは頻繁に母親である岩崎の元を訪れるように。めでたし、めでたし。
それにしてもこの前夫である。かなり強引に子どもたちを自分の元に奪い取った。エリートは狡猾だ。法律も熟知している。岩崎など太刀打ちできなかったのだろう。息子たちの意思など顧みもしなかった。おそらく「自分が一番正しい」という男なのだろう。
思い起こせば岩崎もいろんな意味で男運が悪い。前夫だけではない。実父の存在にも翻弄されてきた。ステージパパとして知られた岩崎パパ。個人事務所の社長になり、娘を仕切った。結婚話もことごとく反対した。それでも、娘がエリートと結婚してしまうと娘のスケジュールを無断で入れて、結果、娘夫婦を離婚に追い込んだ。そんな父だが、愛人と結婚するため岩崎の実母と離婚。勝手である。そして岩崎は、09年に俳優の今拓哉と再婚するが、この際も父親は「婿養子に入れ」との主張が受け入れられないと猛反対。娘ももう50代なんだから許してやれよ、と思うがそうは決して思わないお父さん。娘と決裂し、個人事務所の役員も辞めた。だがお父さんの執念はさらに続く。12年にやはり「セブン」で報じられたのだが、無収入になった父親は役員辞任は不当だと娘を訴えたというのだ。自己中心的な哀しい男たちに翻弄された岩崎。それにしても娘に寄生し続けた岩崎パパの存在は、かなり痛い。
次はとんねるず・石橋貴明ネタ。石橋の娘・穂のかが2世タレントばかり集めた舞台をドタキャンし、舞台そのものを中止に追いやったことは記憶に新しい。記事ではそんな2人の複雑な親子関係を紐解いている。穂のかは、石橋と98年に離婚した前妻の長女である。当時、小学3年生だった穂のかだが、石橋が離婚直後に女優の鈴木保奈美と再婚、しかもデキ婚だったことが判明するなど、父の裏切りを見てしまった。その後、芸能活動を始めた穂のか。恨みや確執もあったが、父との関係も少しは修復に向かったらしい。20歳の誕生日には父から時計をプレゼントされ「愛が入っているからうれしい」と発言。しかし、そこに横槍をいれたのが現妻の鈴木。穂のかの発言が逆鱗に触れたらしく、石橋につらく当たったというのだ。どう考えても鈴木が悪い、大人気ない。奪略婚をして穂のかから父親を奪ってしまった鈴木。自身にも3人の娘がいるのだからこそ、前妻の子どもとはいえ、穂のかを慮って然るべきだと思う。自分の子どもたちとは血のつながった異母姉妹だし。もうちょっと心を広く持てよ。
もし記事内容が事実なら、鈴木は鼻っぱしが強く、わがままで自己中心的で、器が狭い。かわいくない。父親の後妻がこんなのだと、前妻の子どもは本当に気の毒である。少女時代のトラウマ。父親との不自然な関係。怖い後妻の存在。ドタキャンするほど精神的に不安定になるのもなんとなく納得、の記事だった。